「記-さけび-憶」 2
哀川 京介の肉声の「呪文」により、紗江は眠るように意識を閉じて行った
ジャニスはその隙に頭部にヘッドギアを被せ、心電計を取り付け、腕に鎮静剤を打った
「哀川 京介の声でしか反応しない傀儡・・ある意味、諸刃の剣だな・・」
緊急時には紗江を止めることが難しい・・今後の調整でそこを改善しなければならない
「カチ」
PCのプログラムが起動された
「カチャカチャ・・」
ジャニスは現在のプログラムを見直し不安定な個所を調べ始めた・・・
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紗江は深い眠りについていた・・・
誰かの声が頭に響いた途端、まるで回路が切断されたように体の自由が利かなくなり大きな不安と安堵に包まれた・・・
不安は何処からか何者かに襲われるような恐怖であり、安堵は何処か懐かしい安心するような感覚・・
紗江は生命維持をされながら意識の奥へと沈んだ・・そしてどこかの森の中を彷徨い、古びた建物の前に居た
「ここは・・・」
来た事もない場所なはずだが何故か知っている・・そう感じる場所だった
遠くから人が歩くようなが聞こえてきた
紗江は何故か分からないが見つからない様に木陰に身を隠した
「待ってよお姉ちゃん・・」
「早くきなよ、亜衣」
その声の主たちが紗江の視界にいきなり飛び込んできた
「知っている・・・あの子たちの事を知っている・・・」
紗江自体には誰かは分からないが、どこか遠い記憶として彼女たちを理解していた
「真美と・・亜衣・・・」
紗江は無意識に声を漏らした・・
「誰だお前!」
真美が紗江に気付き大きな声を出した
紗江は危険を感じ一目散にその場を逃げ出した
「ハァ・・ハァ・・」
後ろを振り向いた、紗江の後ろには誰もいなかった・・
それでも紗江はやみくもに走った・・
気が付くと辺りは暗くなり見知らぬ森の中で迷い込んでいた
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「ビクン」
紗江の肉体はジャニスのプログラムに反応するかのように時折痙攣を起こした
意識はそのプラグラムに合わせるかのように存在の場所が風景となり映りだしていた
ジャニスはそのモニターを時折見ながら打ち込みを掛けていた
「ダイレクトな反応だ・・・流石は京介さんの作った傀儡だ・・」
ジャニスはプログラムを打ちこみながら異変に気が付いた
「・・・?」
心電図の表示が異常を表していた
プログラムの手を止めてモニターを眺めた
モニターの映像は現在の紗江の視界から見えるものが映し出されている、ジャニスにとって懐かしいものもあれば見た事もないものもあるのが現状であった
「これは・・なんだ・・」
今までに見た事もないシュチュエーションが映し出された
紗江からの意識モニターに映しされた映像には、ロープで縛られ今にも海の底に沈められそうな女が映っていた
「京介さんの過去・・・か・・・?」
目の前の紗江の肉体の心音は激しく鼓動し激化し痙攣をし始めてきた
『不味い・・恐らく紗江はこの本人に意識が入り込んでいる』
目覚める前(覚醒)の紗江であればデータとして受け入れる事は良いが、目覚めた後ではプログラムに支障をきたす、新たなるデータの吸収により紗江が再び眠りについては不味い・・
急遽、プログラムの調整を中断し現在の安定を待つ方が得策だと考えた
まだまだジャニスも知りえない、哀川京介の過去があることに恐ろしさを感じた
ジャニスはプログラム変更中断のボタンを押した・・・
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紗江の意識の中で何者かに殺されかけられていた
何が原因でこんな事になったのか全然分からなかった・・
目の前にいる男が冷ややかな目つきで自分を眺めていた
『俺の為に死ねるな?』
男はそう言ってきた・・
その声を聴いた瞬間、私はこの人の為ならば死ねる、と思った
それはとても優しく、愛おしく、自分の存在はこの人の為だけにある、と思えた・・
私は無言で頷いた
男・・いや、彼は背後から私を抱きしめてきた・・
「はっ・・」
『嫌な事は嫌だと言うてくれ・・それがワシとお前の絆やろが・・・』
目の前が真っ暗になった・・・・
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