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さみしい神さま


神さま、神さま。

全知全能の神さま。

ヒトは、争いをやめないよ。

ヒトは、他人を妬むよ。

ヒトは、不完全で醜い存在だよ。


神さま、神さま。

全知全能の神さま。

それなのに、何故、

そうと知っていて、何故、

あえてヒトを造ったの?


小さきものよ。

私は多くのものを創造した。

天と地と、

そこに生きる数多の生き物を。

全て、完全になるように。


神さま、神さま。

煌めく星も、深く黒々とした海も、

静かな山も、灼熱の太陽も、

気高い獣も、小さな賢い虫たちも、

みんなみんな、素晴らしいよ。


神さま、神さま。

そんな神さまの造った全てを、

美しいものの全てを、

畏怖するものの全てを、

ヒトは壊すよ。

ヒトは傷付けるよ。


小さきものよ、

知っていたのだ、全て。

それでも尚、私はヒトを造った。

造らずにはいられなかったのだ。


神さま、神さま。

何故ですか?


小さきものよ。

私が造った世界は、私そのもの。


この世界は、神さまそのもの。


いくら数多の生き物を創造しようとも、

それは私。


いくら数多の生き物を創造しようとも、

それは神さま。


私は、独りだ。


神さまは、独りだ。


小さきものよ。

私は、欲しかったのだ。

私の創造した世界を美しいと思うものが。

小さきものよ、そなたのように。

不完全ゆえに、私の一部になりえないものよ。

そなたの苦しみも喜びも

私の我が儘ゆえのこと。


小さきものよ。

我が孤独を癒す、愛しきものよ。

ゆるしておくれ。

そなたの悲しみも絶望も、

私の我が儘ゆえのこと。


神さま、神さま。

泣かないで下さい。

ヒトでいることは辛いけれど、

この世界が美しいと思える心がある。

この命果てるまで、

苦しみのさなかに美しい青空を見上げよう。

痛みのさなかに大地の優しい冷たさに涙しよう。

飢えのさなかに一粒の豆に歓喜しよう。


神さま、神さま。

そして僕の命が尽きた時、

あなたの元へ還りたい。

不完全な苦しみから解放されたい。


小さきものよ。

不完全なる、愛しきものよ。

拒む理由があるだろうか。

大地に、

あるいは海に、

あるいは空に、

そなたは還るのだ。

私から生まれ出でた、小さきものよ。

私そのものである世界に、

そなたは還るのだ。



私の通っていた高校はミッション系でした。聖書研究会に入って、休日に教会巡りツアーなどをやっていました。懐かしい。

全知全能の神様が何で愚かな人間なんかを創ったのかという疑問に対する壮大(?)な妄想。


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