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嵐咲く  作者: 加藤無理
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ナニア

 六月中旬。快晴。横須賀基地。敷地の隅にある建物の最上階。佐藤華江は判決で執行猶予になり、身柄が拘置所から基地内へ移された。


 ダンカンとプーランが日本・台湾・アメリカの軍や政府に交渉を持ちかけた。佐藤を処刑するよりも能力を利用すべきだと説得した。ダンカンは砂漠の山をち上げる前までは米空軍に所属していた。退役時には少佐だった。砂漠の山の設立後も世界各国の軍隊と共に時々活動している。皆、ダンカンの説得に始めは驚いたが、結局は佐藤の処刑を断念した。


 砂漠の山の従業員達にもダンカンとプーランは佐藤と徐について説明した。全員、混乱しかけたが、社長と副社長の判断に逆らわなかった。むしろ従業員の一人であるナニアは佐藤と直接会って更生と人材育成をしようと願い出た。ダンカンとプーランは喜んだ。アヌラックはそれに反対しようと思ったが、ナニアは佐藤に興味津々だ。ナニアと行動を共にする事が多いアヌラックも仕方なくナニアと共に横須賀基地に行く事になった。



 事情を聴かされた会社から仕事を減らされて、徐も定期的に瞬間移動で横須賀基地に通う事になった。


 佐藤が横須賀基地に移動した翌日。門に集まった徐・アヌラック・ナニアが荷物検査の後、米兵五人に案内された。五階建ての施設に入り、部屋に通されると日当たりの悪くない広い空間だった。部屋の奥は窓。向かって右側はパソコンの有る机と本棚。左側はソファとテーブル。


 パソコン画面を睨んでいた佐藤が入ってきた大人数に振り返る。佐藤の両腕には手錠は無い。粗末な服装ではなく、米兵が利用する作業着を着ている。米兵達は敬礼しながら、徐・アヌラック・ナニアを日本語で紹介し、三人にも佐藤を紹介した。三人も敬礼したが、佐藤は座ったまま、呆然としていた。五人の米兵達のうち三人は退出し、二人は扉付近で直立した。ナニア達はソファに座らされた。ナニアの右側はアヌラック、左側は徐。


 困惑している佐藤にナニアは落ち着いた声で、

「私達は貴方の更生と育成の為にここに来た」

 アヌラックが和訳した。ナニアは佐藤とパソコンを見比べて、

「既に英語と気象の勉強を始めているみたいだね」

 アヌラックがまだ訳した。徐は指を組んで佐藤の様子をうかがっている。佐藤は両拳を机の上に置きながらナニアを不思議そうに見つめている。


 ナニアは説明を始めた。徐は台湾の半導体製造会社に勤めている。そこで瞬間移動の能力を十分に生かしている。徐は驚いてナニアに振り向いた。ナニアには全く話していない事だった。ナニアは佐藤を見つめながら続ける。アヌラックはタイで生まれ育ったが、五年ほど前に砂漠の山から勧誘を受けて入社した。能力者の力を抑えたり解除したり出来る。通訳していたアヌラックは困った顔でナニアを睨んだ。ナニアは涼しい顔をしている。佐藤は警戒した様子でアヌラックを見やる。ナニアは、

「私はアメリカの先住民族。貴方はナバホ族を知っている?」

 アヌラックが訳すと佐藤は、

「名前だけなら知ってます」

 ナニアは微笑み、

「実は私、他人の本心が分かる能力を持っている」

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