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嵐咲く  作者: 加藤無理
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タリバン

 八月の始め。アフガニスタンのタリバン政権が様々なSNSを介して声明を出した。


 砂漠の山は佐藤を自分達に引き渡す。佐藤を南部の砂漠地帯で殺害する。これを拒否すると世界で同時多発テロを起こす。タリバン自体、世界に散らばっているが、他の組織とも深い繋がりもある。佐藤はタリバン側がアフガニスタンまで連れて行く。砂漠の山の仲間達は佐藤の処刑まで能力を封じる。そうしなければタイに攻め込む。アヌラックの母国だ。佐藤の処刑後、砂漠の山は能力を解放して戦闘を開始してもかまわない。全力で迎え撃つ。タリバンが勝てばタリバンの行動に世界が抵抗も非難も止める。タリバンが負ければ今後は世界の価値観に合わせる。


 世界の世論は非難と称賛に分断された。砂漠の山の活動は十分に評価されているが、佐藤の言動は許容出来ない。佐藤はSNSや報道陣の前では公言を控えているが、対面では常軌を逸した発言を繰り返している。特に中国は宇文を失った悲しみと怒りがある。ダンカンとの戦いの後、中国人民解放軍が急いで宇文の遺体回収し、大きな葬式が行われ、手厚く故郷の墓地に埋葬した。


 これを知った砂漠の山の面々は全身から血の気が引いた。ロジャンは身体を震わせて動揺している。普段は冷静なダンカンも額に青筋を立てて拳を固く握っている。アヌラックは肩を震わせて泣いている。クァンとロサはアヌラックに同情の眼差しを向けている。プーランは額に右手を当てて考え込んでいる。徐は苦悶の表情で俯く。


 佐藤は青白い顔で天井を眺めた。呆然としている。涙は全く流れていない。崔は黙ってそれを眺めている。佐藤の心情も思考も読み取れない。ナニアは無表情で佐藤の様子をうかがっている。


 佐藤が天井を見つめながら暗い声で、

「タイを脅す奴等は本当にムスリムなのか?」

 全員、佐藤に振り向く。佐藤は怒気を込めて、

「奴等の前でコーランを思い切り踏み潰したい気分だ」

 全員、息を飲んだ。崔は、

「お前はどうするつもりだ」

 佐藤は崔に振り返り、

「時間かけて嬲られるのは嫌なので、アッサリと殺して欲しい」

 崔は更に顔色が悪くなった。ロサは目を泳がせながら、

「死ぬのは怖くないの?」

「どうせ長生きしても人は死にますからね」

 やけに落ち着いた声で佐藤が答えた。プーランがナニアを見やる。ナニアは、

「佐藤は全く虚勢を張ってない」

 佐藤は笑みを浮かべながら、

「私が死んだ直後に奴等を殲滅して下さい。女性も喜ぶでしょうね」

 ロジャンはダンカンを見やる。ダンカンは落ち着いた声で、

「その覚悟は否定しないが早まるな。俺達は最善を尽くす」


 佐藤を階下の部屋で休ませた後、残りの九人は話し合った。その結果をアメリカ合衆国に伝えた。

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