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嵐咲く  作者: 加藤無理
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フランスの英雄と砂漠の山

 七月。欧州は猛暑だ。同時に暴風雨が時々襲って洪水も起きている。マリーは今年もフランスを守っている。天候を直接操れるわけではなかったが、空気を適切に冷やして熱中症患者を減らす。蚊の動きも鈍らせる。冷房の使用は最小限になり、原子力発電所の負担も減る。電気代も抑えられる。貧困層も富裕層もマリーに感謝した。


 マリーはフランス全土を守るので精一杯であった。それでもスペインやイタリアやドイツからも要請が来る。十分な報酬とフランスとの国交改善と黒人への差別是正を条件にフランス政府と協議して時折、外国に行って活躍する。マリー不在の間もフランスの民衆はマリーを案じる。


 たまにマリーはアフリカの国々にも赴く。そこでも歓迎される。マリーはなるべく金銭を要求しなかった。そこも更に評価される。人々は丹精込めて作った料理を出してマリーに食べさせ、服や日用品を贈る。音楽や踊りも披露する。マリーは素直に喜んだ。


 一度、ナイジェリアで砂漠の山の面々と会った。彼等は河川や湖沼を浄化していた。食中毒に苦しむ人々も助けている。紛争が起きていたが止んだ。戦闘行為をしていた者達が動揺しながら武装解除していく。強い幻覚を体験したそうだ。不自然な台風がギニア湾から発生したが、風雨は穏やかで災害は起きなかった。そのままサハラ砂漠に移動して行った。マリーはその仕事を目の当たりにして率直に誉めた。砂漠の山の十人全員と握手した。皆、嬉しそうな顔をしている。


 宇文秋とダンカンの決闘を視ていたマリーはダンカンに恐怖を感じていた。しかし対面するとダンカンは温厚で紳士的だ。マリーはダンカンを見直した。ダンカンも従業員達もマリーの正確で慈悲のある仕事を目を輝かせて称賛した。


 マリーと砂漠の山の面々は一緒に現場の村で伝統的な音楽を聴いた。踊りも見た。どれも迫力があった。どんなに動画技術が発達しても実演を間近で体感する以上の熱意は伝わらない。皆、演者達に敬意を払った。


 マリーは砂漠の山と二日ほど行動を共にした後、笑顔で手を振って別れた。砂漠の山の面々もしっかり手を振った。


 ナイジェリアから帰国したマリーはフランスの民衆から笑顔で迎えられた。けれども報道陣も野次馬も無闇に近寄らない。マリーは微笑み返すと帰宅した。


 フランス軍から連絡が有った。巨大麻薬密売組織の一つである白い岸がマリーに興味を持っている。マリーは不快を露わにした。一切、関わりたくない旨を軍に伝える。フランス軍は諜報機関と連携してマリーを護衛することにした。仕事や私生活の邪魔にならないように配慮もする。


 今日も何処かで記者や活動家が密売組織に殺害されている。危険薬物や組織の批判をする者は容赦無く狙われる。貧困や差別や常用者の怠惰が薬物の市場を支えていると言われるが、密売組織が悪い事には変わりない。購入して服用して様々な犯罪を起こす末端の者達も十分に罪深いが、それで利益を得ている者達は更に罪深い。


 マリーはSNSでも対面でも危険薬物に対して公言を避けているが、憎悪は有る。

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