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嵐咲く  作者: 加藤無理
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ホセとの交渉

 六月上旬。トルコ政府の依頼を受けてイスタンブールから黒海と地中海の海水を浄化。大火事に遭ったギリシャに雨を降らせて鎮火。その大仕事から砂漠の山の面々がカリフォルニア州の事務所に戻って来た時の事。


 会社に電子メールが届いていた。休んでいる面々。プーランが会議室に集めてそれを読み上げた。


 白い岸の幹部であるホセからであった。ホセは先月に日本にいた危険薬物組織を撤退させた。その見返りに砂漠の山と交渉を望む。条件を出し合って相互不干渉に持ち込む。メキシコシティ郊外にある大きな公園で議論する。砂漠の山の面々は全員参加する。白い岸のホセとパブロの他に別の麻薬密売組織の首領達も来る。


 読み終えたプーランは周りを見渡すと座った。ロサは青白い顔で俯いている。ロジャンは自分の顎を右手で掴んで考え込んでいる。崔は上半身を震わせている。クァンは腕を組んで正面の壁を睨んでいる。アヌラックは右手で自分の両目を覆っている。徐はダンカンを見やる。ダンカンは指を組んだ両手を後頭部に付けて天井を眺めている。無表情だ。ナニアは佐藤を見やる。佐藤は不可解で眉を寄せている。


 ダンカンは落ち着いた声で、

「奴の言う通りにしてみよう。奴等が攻撃を仕掛けたら俺が反撃する」

 徐は冷静な声で、

「社長が合図したら俺がすぐに皆を移動させます」

 目から手を離したアヌラックが怯えた顔で、

「それで大丈夫なのか?」

 ナニアは穏やかな声で、

「交渉の機会を逃せば皆が何時何処で襲撃されるか分からない」

 クァンは暗い声で、

「俺達だけでなく親族や家族も狙われるだろうしな」

 崔が佐藤を睨みながら、

「奴等は何故、日本から組織を撤退させたんだろう」

 プーランは周りを見渡し、

「よく分からないけれど、この危機を機会に変えよう」

「そうだね」

 ロジャンが同意した。ロサは黙っている。佐藤は首を傾げる。


 結局、六月下旬に交渉することになった。集合場所の公園は広い空間になっており、周りを森林が囲んでいる。メキシコシティとその周辺は標高が非常に高いので、何回かに分けて徐が皆を瞬間移動させる。アヌラックは何度も徐を励ます。


 プーランとナニアとロサがメキシコと密売組織と日本の状況を調べて皆に伝えた。皆は傾聴した。当日に備える。


 ダンカンもプーランもナニアも涼しい顔をしているが、ロサの顔色が悪い。ロジャンとクァンがロサを励ました。崔は何度も宙を眺めて物思いにふける。


 佐藤は密売組織の話を聴かされて更に嫌悪感を増した。彼等なりの正義と信仰心は有るようだが、彼等は平気で他人を嬲って殺す。女を殺傷する事にも抵抗が無い。


 前日にナニアが佐藤に、

「憎いからといって安易に攻撃してはいけないよ」

 佐藤は訝しそうに、

「奴等は簡単に死ぬような連中ではありませんよ」

 ナニアは真っ直ぐ佐藤を見つめて、

「ホセをよく観察しなさい」

 佐藤は腑に落ちなかったが、

「分かりました」

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