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嵐咲く  作者: 加藤無理
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イランとシンガポール

 宇文秋との死闘から立ち直ったダンカンはアヌラックと一緒にイランの南東部に位置するルート砂漠の岩場に徐の能力で移動した。今回も核シェルターを使用する。ルート砂漠は文字通りの灼熱地獄だが、世界遺産に登録されている。アヌラックは核シェルターの中でイランの電波を傍受している。翻訳はパソコンの人工知能を使う。


 イランの物理学者が二人に交渉を持ちかけた。ダンカンは素直に応じる。物理学者は小隊に護衛されながら核シェルターに向かう。


 その頃。残りの砂漠の山の面々はシンガポールに集まっていた。世界の要所の一つであるマラッカ海峡を浄化させる作戦だ。マレー半島とスマトラ島に挟まれているが、大小の船舶が頻繁に往来している。ここが封鎖されると世界の経済に大きな衝撃を与える。


 マラッカ海峡や船舶になるべく刺激を与えずに重油やマイクロプラスチックや炭素を除去する。徐がイランから戻って来ると、作戦が始まる。シンガポール・マレーシア・インドネシアの軍隊と海洋研究者達と海運業者が連携している。


 プーランが参加者達の出す情報を処理してナニアが的確に指示を出す。崔とロサはそれを支える。ダンカンとアヌラックを移動する前に残りの仲間をシンガポールに連れて来ていたので徐は休んでいる。


 佐藤は空を晴らし風を止めた。海域は凪になる。船舶は滞りなく往来する。


 ロジャンは海底から海面までの不純物を拳大の塊に変えていく。船は数多の塊に当たっても動く。おびただしい塊が沢山の船舶の軌跡や海流に操られていくつかの群れになっていく。


 クァンは慎重に防御壁を創りながらその塊の群れを誘導していく。船乗り達は皆、熟練しているので防御壁を絶妙に避けていく。クァンもなるべく邪魔にならないようにしている。


 ダイヤモンドを含んだ塊の群れはシンガポールの港に集まってくる。群れは種類ごとに分かれている。シンガポール軍はそれを回収していく。


 その頃。ルート砂漠で物理学者はダンカンと交渉した。物理学者はイラン政府の意向を汲んでいる。アヌラックは部屋の隅で二人の話を聴きながら録音したり記録したりしている。


 物理学者は砂漠の山とイラン国軍が連携して中東の環境保全と安全保障に貢献すべきだと主張した。報酬は十分に出す。イランのもう一つの軍隊であるイスラム革命防衛隊とは相互不干渉とする。アメリカ合衆国とイスラエルにイランが攻撃を中断する代わりにイランにも二カ国は攻撃を中断してもらう。


 ダンカンはこの提案を概ね支持したが、国家間の具体的な交渉には関われないと正直に答えた。戦争や紛争が起きれば砂漠の山はアメリカ合衆国大統領の命令で動くし、不正と不条理な命令ならば拒む。イラン・イスラエル・アメリカの外交や安全保障がどうなるかについて砂漠の山は関わらない。しかしイランや他の中東諸国が環境保全の為の依頼をするならば条件次第で快く引き受ける。


 物理学者は自分を護衛している軍人達を見渡す。彼らはイスラム革命防衛隊員達である。皆、無表情だが、瞳は穏やかだ。


 交渉はほぼ上手く行った。物理学者達は帰って行った。アヌラックは全身で安堵の溜息を吐くと、徐に報せた。徐は二人と核シェルターを会社の隣に移動させた。


 シンガポールでの作戦も成功していた。

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