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嵐咲く  作者: 加藤無理
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一難去ってまた一難

 ダンカンと宇文の死闘を一部始終見届けていたフランスの諜報機関はダンカンの勝利を本国政府にも世界各国の政府にも伝えた。人工衛星が撮影した動画も送信する。


 マリーも諜報員達と一緒に観察していた。戦闘が終わっても、全身に悪寒が走っている。組んだ指を膝に載せながら足を震わせる。


 地形が完全に変わっている。集落も農場もオアシスも付近に無かったので、被害は無いが、戦場には町が一つ入るほどの大きな窪地が出来ている。岩場も粉砕されている。


 結果を知った徐がダンカンの横に現れる。徐は変わり果てた宇文に驚いた。ダンカンと徐は少し会話すると消えた。カリフォルニア州にある会社の事務所に戻ったのだ。


 諜報員が画面を消した。マリーは全身で溜息を吐いた。その顔に血の気が無い。マリーは静かに立ち上がると諜報員達に挨拶して部屋を出て行った。


 四月中に中国国家主席が要人を引き連れてホワイトハウスに来た。大統領達と貿易や条約について話し合う。挑戦状の通り中国側はいくつか譲歩せざるを得なかった。大統領は砂漠の山の面々を奴隷状態にしようとした点を非難した後、締結していった。


 このやり取りは両国国内外の民衆にも公開されたが、砂漠の山についての報道は最小限にさせた。世界各国の報道陣はテレビとネットで伝えていく。


 砂漠の山の事務所にも従業員の所にも記者は来なかった。報道が規制されている上に、砂漠の山が取材を強く断わっていた。


 ダンカンは怪我らしい怪我をしていなかったが、疲労困憊であった。従業員達もホセの対応で疲れていた。皆、情報共有をした後、一週間ほど休んでいた。ダンカンが勝利したとはいえ、祝杯する雰囲気ではなかった。


 アヌラックとクァンと崔は事務所の階下に有るクァンの部屋に集まって嬉し涙を流した。中国の奴隷にならなくて済んだのだ。


 徐とプーランはダンカンの体調を気遣った。ダンカンもホセの対応を聴いて従業員達を心配している。


 ロジャンはロサの部屋でホセについて説明を聴いている。ロサは虚ろな目で力の無い声で語る。ホセは合法的な経済活動もしているが、それ以上に犯罪行為を繰り返している。自分の手も汚すし部下に命令して数多の人間を殺傷し、財産を奪い、人生を壊している。子どもを兵士に育てたり女に性暴力も振るったりする。


 ナニアと佐藤は会社の屋上で空を見上げながら会話している。ナニアは楽しそうに、

「ホセが貴方を殺す事はないよ」

 佐藤が不思議そうに、

「何故ですか?」

 ナニアはニコニコしながら、

「後で分かるよ。でも、ホセへの警戒は怠らない方が良い。彼は女を操る天才だからね」

 佐藤は不安な顔をした。ホセが自分を口説くとは思えないが、人心掌握が優れているのだろう。油断は出来ない。


 

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