ミートボーイ
僕にはコンプレックスがある。
僕は…デブだ。
遠くから見てもわかるくらいのデブだ。
この体型のせいで学生時代は散々だった。イヤな思い出しかない。
同級生にはからかわれ、好きだった人には笑われ…
気の弱い僕は、言い返せずストレスばかりが溜まっていった。
一時期はダイエットもがんばった。
しかし、ことあるごとに周りが茶化してくるので、やる気も失われていった…。
世間じゃポリコレなんて言われているけど…あれは建前だ。
けっきょくは、高身長、金持ち、イケメンがモテる…。
なにももっていない僕はどんどんふさぎ込んでいった…。
そうしてときは流れ、僕はなんとか社会人になった。
内気な性格は治らなかったが、なんとかやっていけている。
ある日曜の朝、僕は外をブラついていた。
インドア派の僕だが…たまにはお日様の光も浴びなきゃいけない。
家から最寄りのコンビニまで歩く。歩いて15分くらい。
キツいけど、少しくらい運動しなきゃ……。
歩くこと10分……。
「ふぅ、ふぅ…やっとゴールか…」
コンビニが見えてきた。
そしたら…コンビニのドアから勢いよく出てくる男がいる。
ぱっと見…ヤンキールックだった。
その男は僕をからかってきた同級生にとてもよく似ていた。
そしてその男をコンビニ店員が取り押さえた。
「クソが…はなせぇ!」
「はなすわけねぇだろ! 万引きヤローが!」
ヤンキーくんは、うつぶせで必死にもがいている。
店員さんは取り押さえるだけで精一杯。まわりにはだれもいない…。
(マズい…あれだと逃げられるんじゃ…そうだ!)
僕はその場に駆け寄って…ヤンキーくんの背中に座った。
ドシン!
「ぐふっ!」
「今のうちに警察を!」
「は、はいご協力、感謝します!」
「その声、ミートボーイ…か?」
ヤンキーくんは僕の同級生だった。
「たのむ! 見逃してくれぇ! このとおりだ!」
(そんなあだ名をつけるやつを逃すわけねぇだろ!?)
僕は少しだけ膝を上げた。
「すまねぇ! 恩に着r」
ドシン!
「ぐはぁ!」
もう一回座ってやった。
ああ! スッキリした! 積年の恨みが晴れたような気がした!
ほどなくして警察が来て、同級生は御用となった。




