終幕?
『続いてのニュースです。昨日、○○県○○市において連続殺人犯が中学校に立て篭った事件ですが、未だ犯人の特定には至っておらず、警察は慎重に捜査を進めています。』
世間では未だ犯人の特定には至らず、この町に漂う不穏な空気感が拭えることはない。
真相を知る者からすれば既にくすんだ輝きを取り戻した平和な世界でも、この平和を喜ぶ者と悲しむ者で分かれるのだろう。
警察は生徒たちの聞き込みをした結果「宮澤という生徒が暴れ回っていた。」という証言が多く宮澤を中心に捜査しているようだが、決定的になるような証拠や証言などは得られなかった。
その宮澤が屋上で遺体となって発見された為、生徒たちの証言については『生徒たちによる集団パニック』としているようだった。
捜査が進みきらないのも、この事件での死傷者数が多く、被害者への聞き込みもままならない状況にある。
被害者として、まず建設予定現場に倒れていた警察官数名。
こちらに関して命に別状はないものの、詳しい話は聞けていないようだ。
次いで学校で発見されたのが、廊下に横たわる生徒二名、窓から突き落とされたであろう大人一名。
どちらも息はあるがかなりの重症を負っている。
そして、死者。
屋上で倒れていた生徒一名、大人一名。
屋上から突き落とされたと見られている生徒二名。
中学校付近、学校の裏手で女性一名。
いずれもその場で死亡が確認されたようだった。
「…………。」
彼らの死を目の当たりにして、心から絶望しているのは誰だろうか?
親や親戚、仲のいい友達や恋人なんかは悲しむのだろう。
この世界で言う所謂『能力者』たちは皆、新たな世界を夢見て旅立って行った。
さて、ここで言う彼らと仲のいい友達であった人間が存在する。
彼らにとっては終わった物語でも、もしかしたら彼女たちにとってみれば、これで終わりだなんて受け入れられない事実でもあるのかもしれない。
彼女たちはこの絶望を乗り越えるのか、はたまた押しつぶされてしまうのか。
そして、旅立って行った彼らが築き上げるであろう新たなる理想郷とは。
そこで起こる事は、また別のお話。
長らくお付き合いありがとうございました。