エピローグ
あれから一年が経ち、俺と葵は結婚した。今まで勤めていた会社も辞め、博人が経営しているIT会社に勤めさせてもらっている。
博人は当時付き合っていた万梨阿さんとはどうやら別れていたらしく(友人としては付き合いがあるらしいが)、俺も知らない女性と結婚していた。
麻美は写真家として、世界を飛び回っている。結婚式の写真撮影は全て麻美にお願いした。
絵理は大学院の博士課程に在籍していた。大学院の名前を聞いた時は大変驚いたのを覚えている。どうやら俺の体験にどうも刺激されたみたいで、物理学の高次元帯のなんたらっていう専攻で研究をしているみたいだ。難しすぎて、名前は覚えられなかった。
将輝も大学院の博士課程に在学していて、考古学の研究をしている。これも聞きなれない言葉で、なんの研究をしているかは覚えられなかった。俺が馬鹿すぎてごめん。
絵里と同様、将輝も俺の体験に刺激を受けたらしい。俺の体験は業界ではタブーらしくて、教授や研究室の皆には言えないと言っていた。
咲耶は医学部に進学していた。どうやら、俺や景さんに助けられた時の記憶が鮮明に残っていたらしく、人を助ける仕事に就きたかったから、医者を目指したらしい。
俺も出来るだけ、バックアップしてあげようと思う。
俺と葵はあれから、この原因を作った、月の石について調べた。
しかし、やはりというべきか、これといった成果を見つけることは出来なかった。
そんな時、俺は江の島で会ったお爺さんから渡されたメモの存在を思い出した。
過去の世界の事だったので、諦めてはいたが、なぜか、リュックの中にメモが入っていた。
そのメモには、住所のみが書かれていた。
場所はアメリカだった。
俺と葵は月の石の謎を解明する為、日本を離れ、アメリカへ行く事に決めた。
何としても、この石の謎を解明する。それが時の輪廻から戻ってきた俺たちの宿命だと思う。
景さんと詩穂さんはまだ彷徨っているはずだ。解明すれば、まだ何とかなるかもしれないんだ。
俺の行動は結果としては、良かったのかもしれない。しかし、恐らく多くの人の人生を変えてしまった。
だから、もう二度と俺たちの様な事が起きない様にしなくちゃいけないんだ。
だから俺達は、俺は、これから何年かかるかわからない、当てのない答えの旅に出る。それが、報われないとしても。
まずはアメリカだ。そこから俺の新たな時が動き出す気がする。だ彷徨っているはずだ。解明すれば、まだ何とかなるかもしれないんだ。
俺の行動は結果としては、良かったのかもしれない。しかし、恐らく多くの人の人生を変えてしまった。
だから、もう二度と俺たちの様な事が起きない様にしなくちゃいけないんだ。
だから俺達は、俺は、これから何年かかるかわからない、当てのない答えの旅に出る。それが、報われないとしても。
まずはアメリカだ。そこから俺の新たな時が動き出す気がする。
これで完結になります。
最後までお読みいただき本当にありがとうございます!
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それでは次回作でお会いしましょう!