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第30話 いざ鎌倉! そして江の島へ

 6月24日土曜日。昼前なのに日差しが強く、夏を感じさせるくらい暑い。俺と絵理は、今、鎌倉駅東口前にいる。鎌倉は過去に2、3回くらい来た程度だったと思う。鶴岡八幡宮に行ったかな、程度の記憶しかない。





 俺は手で日差しを遮りながら、辺りを見渡した。まだ、昼前だというのに、人で溢れかえっている。海外から来ている観光客も見受けられた。





 駅前にはロータリーがあり、バスが止まると、乗客がどっと降りてきた。どうやらこの人たちも観光客のようだ。





 俺と絵理はロータリーを左回りに歩き、小町通を目指した。入口の近くにはマクドナルドがある。昼前なので、客が店からはみ出して並んでいた。小町通の入口には、レッドブルガール達が街歩く人たちに笑顔で挨拶し、レッドブルを手渡していた。





 俺たちの目的は露店もしくは、それらしきお店を見つける事。俺と絵理は、鎌倉と江の島を探すことにした。上野と秋葉原には博人と真梨阿さんが行ってくれた。上野には露店が結構出ているとの情報もあり、また、秋葉原も神田明神に露店が出ていたり、駅前の商業ビルの前では、フリーマーケットが催されていたりする。





 神楽坂駅の近くにある、靖国神社には将輝が行ってくれた。ここは結構、イベントがあり、露店が多く出ていることで有名だ。





 新宿・原宿には麻美が行ってくれた。この街は、シルバーアクセサリーの露店がよくある。また、裏路地に何かありそうな気がした。麻美はアクセサリー集めが好きなので、新宿や原宿には詳しいらしくて、逆にそれ目当てで行きたいとの事だった。





 小町通は人で溢れ、よそ見でもしようものなら、他の人にぶつかってしまうくらいだった。


 


 お店は道の両側に並び、観光客で賑わっていた。俺と絵理は別行動をして、お店や、路地裏をくまなく探した。が、それらしきお店を見つけることは出来なかった。





 1時間以上は歩き回ったと思う。俺は絵理に、鶴岡八幡宮の鳥居の前にいるから来てくれと電話した。10分ほど経つと、絵理はくたびれた様子で、歩いてきた。俺は絵理に向かって手を振った。





 あらかじめ、自販機で買っておいた水を絵理に渡した。絵理は「ありがとう」と言うと、ボトルキャップを外し、3分の1程一気に飲み干した。





 飲み終わると、絵理は顔から滴る汗をタオルで拭っている。





「なぁ、あそこに出店あるから行ってみないか?」





 俺は橋の向こうに見える露店を指さした。絵理は振り向いて、俺の指さす方を見た。





「おっけー」





 気怠そうな声で絵理は返事をした。





 赤色で塗られた木製の橋を渡ると、参道が広がっている。露店は左右に2つずつあった。のぼりが出ていたが、りんご飴や焼きとうもろこしなど、ありきたりのお店だった。内心がっかりした。





「ここじゃないみたいだなぁ」





「そうですね~」





 絵理は辺りを見渡している。ふぅと一息吐くと、絵理は俺の顔を見た。





「せっかくだから、りんご飴買いましょうよ」





 笑顔で絵理が言った。





「りんご飴か。久しぶりに食べるか~」





 俺は絵理に腕を引っ張られ、お店の前まで連れて行かされた。





「りんご飴2つ下さい!」





「はいよ!」





 絵理が言うと、初老のおじさんが元気な声でかえす。





「ほれ! 2つで500円でいいぞ」





 おじさんはそう言うと、絵理にりんご飴を渡した。絵理はお金払ってねと肘で俺の身体を小突いた。わかったわかったよ。





「おじさん、500円でいいの? 1つ300円でしょ?」





「おまけだ」





「ありがとうございます」





 俺はお礼を言って、500円玉をおじさんに渡した。





「お前たちいい感じだな」





「私たち、ただの先輩後輩の仲ですから!」





 絵理は間髪入れずに話した。





「お、おう。ごめんごめん」





 おじさんは、謝ると、俺にだけ聞こえる様に、「ごめんな、あんちゃん」と言うと、苦笑して、こうべを垂れた。





 俺と絵理はお店から離れた。





「おまえさぁ、あんなに、即答しなくてもよくないか?」





 俺はりんご飴を舐めた。





「だって、本当の事じゃないですか」





 絵理は俺の顔を見ず、りんご飴を舐めている。





「ま、まあな。しっかし、久しぶりに食べると美味しいもんだな」





 絵理はうんうん。と頷いている。俺が美味しくりんご飴を食べていると、スマホが鳴った。博人からだった。





 どうやら、上野にはそれらしきお店はなかった、これから秋葉原に移動するという事だった。麻美と将輝からはメールが入っていた。どうやら、二人とも博人と同じようだった。お店はなかったらしい。





「あいつらも今のところ駄目みたいだ」





「そうですか」





 木陰に移動し、絵理はしゃがみ込んでりんご飴を食べている。





「俺たちも、食べたら移動するか」





「そうですね。時間もなくなっちゃいますからね」





 俺たちは、りんご飴を食べ終わると、鶴岡八幡宮を出て、江の島へ向かった。鎌倉駅から江ノ電に乗り移動する。電車の中は人でごった返していた。






いつもお読みいただきありがとうございます。

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