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異世界にて  作者: 分福茶釜
1/10

物語の始まり


「……いってきます」

 返事はない、それもそうだ…この家には俺しか住んでいないのだから。

 祖母から聞いた話では、父は俺が産まれる前に行方不明になり、母は俺が物心つく前に死んだとのこと。

 そのため育ての親は祖母であり、自分も祖母のことを母親のような存在だと思っていた…だがその祖母も数ヶ月前に息を引き取った。

 自分はまだ17の学生だったので金銭的な問題もあり、1人で暮らしていけるのかと心配したが幸いにも祖母の貯金があったため、お金には困らなかった。

 しかし、急に1人だけになった家はどこかだだっ広く、寂しさと冷たさを感じて、次第に何をやっても虚しく感じるようになり、友人とも距離を置くようになり始めた。


 そんなある日、少年が墓参りに行った時にふと気づいたのだ。

 自分の父の墓を見たことがない。

 その事に気づいてから少年は自分の父親は生きているんじゃないかと思い始めた。

 時が経つにつれてその思いはだんだんと膨れ上がり1度でいいから父親に会ってみたいと思い始めた。



 気がつくと俺は真っ白い空間の中椅子に座っていた。

「ここは…どこだ?」

「あなたは現世で死んだのですよ」

 目を向けると1人の男が座っていた。

 さっきまで居なかったのにどこから出てきたんだ…?

「死んだ?なんでそんな…確かさっきまで布団に入って…そうかこれは夢か」

「夢じゃないですよ、あなたは焼死しました。隣家のタバコの不始末による火事で延焼で寝てる間にそのまま…て感じですね」

「嘘でしょ?そんなことで死んじゃったの?」

聞きたくなかったそんな死因…

「死因が死因だったので可哀想だからもう一回生き返らせてあげようという話になったんですよー」

なに笑ってんだこの野郎…。

「…生き返るのを拒否した場合はどうなるんですか?」

「あー…拒否、ですかぁ。

あんまり深くは言えないんですけど貴方のこれからのジンセイに大きく関わる事でして〜…拒否することはできません」

 この男の発現に違和感を覚えた。

「これからの人生に大きく関わるってどういうことですか?俺はすでに死んだのならもう人生も終わって…」

「それ以上は話せません。

私だって馬鹿じゃありません、貴方が生き返りを拒否したいのもよーっく分かっているつもりですよ?でもこちらとしては向こうの世界に行ってもらいたいので一つだけ助言を…向こうの世界に行けば貴方の願いが叶いますよ」

 少年の問いかけは遮られた…だが、男のその一言で少年は異世界に行くことを決意した。

「俺の願い…父親に会えるんですか?」

 男はうんともすんとも言わず、ただにっこりと笑ってみせた。

 何も言わない…怪しいけどもう死んだ身だ、行ってみるか…異世界。

「決心したようですね。ではなにを持っていくか決めてください。武器でも鎧でも超能力でもなんでも1つだけ持っていけますよ。いわゆる転生ボーナスってやつですね」

 1つだけ…これは慎重に選ばなければならない、どれほど強い武器でも装備がなけりゃ遠距離攻撃でやられてしまうし超能力だけだとどうせ転生したら神さまの加護とやらでチート能力が備わってるのだからいらないしどうせなら強い鎧でももらってちまちま雑魚モンスターを倒しながらレベル上げでもしてたらいいだろう。

「じゃぁ最強の鎧をください!」

 それを聞いた男は小首を傾げた。

「鎧でいいんですね?では次にあなたが目を覚ますとそこは異世界です。その世界で魔王を討伐して平和な世界にしてください」

 俺は聞き捨てならない言葉を聞いてしまい詳しく聞こうとしたが目の前が真っ白になってしまった。



 気がつくと目の前には大きなトカゲが佇んでいた。

 突然現れた少年にトカゲは興味津々に眺めている。

 それもそのはずこのトカゲは暖かい日差しに包まれウトウトとしていたところ白い鎧を着た人間が突如として現れたのだ。

 その鎧に日差しが降り注ぎキラキラと光り輝いておりトカゲもその異様な光景に目を見開き暫しの間思考した、そして大口を開けた。

 瞬時にヤバいと察し、少年は全力で走った。

 しかしトカゲも走る、獲物を喰らわんとばかりに何度も何度も噛みつこうとするが少年も必死に避け続けた。

「なんで異世界に来て早々こんなトカゲに襲われなきゃならないんだよ!危ねぇ‼︎クッソ〜あの野郎今度会ったらぶん殴ってやる‼︎」

 こうも餌に避け続けられるとは思わなかったトカゲは徐々に苛立ち始めたその時だった。

 少年は慣れない装備のせいかつまづき転んでしまった。

 トカゲはそのチャンスを逃さまいと勢いよく飛びかかった。

 もうダメか…第2の人生も早く終わったな。

 そう思った瞬間だった。

 腹にズドンと響くような音とともに眩い光にとっさに目を瞑ってしまった。

 目を開けるとトカゲは真っ二つに切断されていた。

「キミ、大丈夫?」

 そこには白髪碧眼の10代半ばの少年が立っていた。

以前書いてたものを書き直しました。

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