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端的にいうと、右手を塞いでいた傘は色、素材を変え右手首についてしまった。


「???」


当然困惑しかない、当たり前だ。

同じ意味の言葉を重ね事情を把握するため頭を回す。

目を游がせながら、何気もなくついている右手の金属を見る。メタリックとしか言えない金属、腕輪らしきものは、龍を連想させる方形の角ばった銀?に翠玉色の宝石が散りばめられた中二を過ぎた頃の、厨二病をくすぐる見た目をしていた。


「どういうことだってばよ」


当然分からない、当たり前だ。同じいm(略)

腕輪を凝視しても何も変わらないし、分からない。だがそれを止められない。日常生活を達観したような紛い物の思考をし、顔を上げた。


人はテンパると本当に視野が狭くなるようだ。周りを確認するのに結構な時間がかかった。

程よく家が立ち並び、ちょうどいい田舎を具現化したような街並みは、説明文に「絶景が見える」がつく場所に移り変わっていた。


足元も変わっていたのに気づかなかった。コンクリートで固められた道は、草花がひび割れをつくる石造りの簡素な高低差があるものへ変化を遂げていた。

いわゆる絶景は盆地を山の上から見下ろしたもので、小さな川が何ヵ所から家々の間を流れており、暖かな春の日差しに輝き、俗に言う「始まりの村」らしさが溢れ出す風景だった。


「すげぇ...」


なんと幼稚な感想か。

受験前(勉強したとは言ってない)とかでここ最近旅行など全くしていなかったし、地元も通学先も平坦な土地だからだろうか、素直な感嘆しか出なかった。


ガ...ガタガタガタガタ...


目の前の景色に目を奪われていると、すぐ前を牛車が通った。

途端に現実に引き戻された。


「テレポート...」


そんな非現実的な...今頃牛車がある場所は、京都?奈良?新生活以前、中学で記憶の隅におさめた初歩的な歴史、いや馬車はどっかで聞いた事あるけど牛車はないだろ。


「うーーーん...」


それより、場所が変わってる事に驚けよ!

異世界転生かよ!




それじゃないか...

まだ牛車があるころにタイムスリープとか可能性はあるが、


「カーカー」


八咫烏、はっきり見たヤタガラスだ。つうかすぐ足確認に全集中したわ。

やっぱり異世界転生じゃないか。

待て、まだ古ジャパンにタイムスリープ!?説は健在だ。てかそっちの可能性が高まった。


バサッ、バサッ、...ブヴォッ、ブヴォッ


多分擬音じゃわからないが、羽ばたいた音だ。

これで確信した。さよなら日本、よろしく異世界。

さっき感じた「始まりの村」にそぐわな過ぎる巨大なドラゴン。間違いなくドラゴン。level850辺りの見た目。


「...」


ぐうの音も出ない。

こうして驚愕と共に金なし、家なし、力なしの欠陥異世界生活が始まりを迎えた。

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