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第八話 関所


「関所に着いたぞ!身分証明出来るものを提示してもらう為、用意してくれ!」


ぼーっとしていると商人の声が掛かった。どうやら馬車がもう既に止まっており、関所に着いたようだ。


その声で寝ていた皆が起きだし、それぞれ身分を証明出来るものを取り出す。


三人はどうやら、冒険者のカードである茶色のカードを出した。僕も早く出さねばとバックの中から、指輪を取り出し、握る。


すると突然、検査が行われている二両目辺りから大きな声が聞こえてきた。


「子供と嫁が待ってんだ!見逃してくれよぉ!」

「規則だ。規則にはしたがって貰うぞ。」

「お前、ちょっとこっちに来い!調べさせてもらうぞ!」

「離してくれよ!ちょっと待ってくれよ!!」


抗議する細身の男とソレを掴んで連れていく兵士。


なるほど。身分証明が証明できないと、ああなるのか。不安だな......。


そう思いながら、掛けられた毛布を畳む。それで、掛けてくれそうなレビに差し出す。


「いや、ゲムのだぞ」


と言われたので、ゲムに差し出す。予想外だ。


「おうよ」

『ありがとう』


ゲムは受け取り、荷物にしまう。とあっという間に順番が来たようで兵士が二人、こちらへとやって来た。


「身分証明の確認を行う。身分の証明となる物を出せ。」

「これでいいな?」

「はいよ」

「......」

「冒険者カードだな。確認した。そっちの坊主は......」


手に持った指輪を見せる。


「失礼。」


兵士の一人が手に持ち、確認する。


「了解しました。問題はありません。」


そう言って、僕の手に返す。


そして、兵士達は次の五両目へと向かっていった。


「......家紋、デイラベル」


そう、レブロがボソッと聞こえないような小さな声で言った。


「なんか言ったか?レブロ。」

「......」


レビはボソボソと言ったのを耳に拾い、レブロに聞いたが、レブロは首を横に振った。


「あの男以外、異常無し!通せ!」


そう、五両目辺りから聞こえると馬車が動き出す。


関所に向かって馬車が走る。


四方位門の壁は石レンガで十メートル程の壁で厚さが三メートル程の石壁。かなり大きい。


中と外では結構違う。と言うことは無く、普通の平原。強いていえば、外の方が並んでいる列が長く人が少し多い位だろう。


馬車の外ばっかり見ていたが中をふと見た。


三人は干肉を齧りながら、黒パンを食べている。訂正する。レブロは手に持っているだけだ。


「どうした?飯食わないのか?」


そう、レビに聞かれるがどうしようもない。食料は持ってきてない。紙に書いて、素直に伝える。


「ほらよ。それと水だ。」


紙に書く、その前に黒パンと干し肉、水を渡される。


「旅には食料を持っていくことは常識だぞ。こういう、移動用の馬車に乗る時は大体、飯は出らないし、売ってくれないぞ。気を付けろよ。」

『ありがとう』


そう伝えて、干し肉にかぶりつく。


うう......硬い。というか唾液が少ないから柔くならないから、先に水を飲んで......うん、硬い。ちびちびと、噛んでいこう。


パンはどうかな......うん。これも硬い。流石保存食だ。


ってあれ?レブロが持っている干し肉と黒パンがない?どこに行ったんだろう。そんな事を疑問に思いながら咀嚼する。




その後、なんとか干し肉と黒パンを完食。結構、腹に溜まる。でも、コレを何食も出されたら辛いな。


腹に食べ物を入れた為、ぼーっとしていた脳が覚醒する。


と言ってもすることが無い。そう思い、他の三人を見る。


レブロ......不動。ゲム......寝ている。レビ、武器の整備?なんか拭いてる?


あれ?弓?魔術師じゃなくて?


「どうした?疑問の顔をしてるぞ?」


ペンと紙を持ち、書く。


『あれ?』『魔術師じゃないんですか?』


ソレをレビに見せる。


「俺は弓使いだぞ?というか昨日の魔法はアレぐらいしか使えないんだ。魔力量もそんなに無いし、弓と槍ぐらいだな。」

『なるほど』

「ゲムは馬車の上に乗ってる大剣か剣だな。それでレブロはナックルとか短剣とかだな。」


なんというか武道派集団?魔法など無かった。


僕も出しておこう。


短剣を布を解いて、見せる。


「短剣使いか......整備は欠かさずに行わないとね。」


そう言って、レビは小さめの砥石を差し出す。なんかして貰ってばっかりな気がする。


と言っても渡せるものは......金しかない。一枚渡してみる。


「子供は遠慮するな」


そう言われ、押し返される。なんというか......優しすぎませんか?


そう思いつつ、砥石を使ってみる。水を掛けてもらい、研ぐ。


「もうちょっと寝かせた方がいいよ。」


もっと?


「そうそう。」


こんな感じでレビ先生による砥石の使い方を学び、十四本程、研いで時間を潰した。

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