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第六話 出発

おはよう。昨日、暗殺者が入ったことは朝食時でも、言われなかった。というか皆、沈黙だった。


さて、今日は夕食後、すぐに抜け出そう。あまり安全を考慮しすぎて、遅く行き過ぎると馬車が走っていないからだ。そう考えればそうだったなと最近気付いた。


とと言っても待つまでの時間にする事は変わらない。


さあ、昨日の教訓を生かして紙束に字を書こう。


そういえば名前を答えられなかったな。


『アルヴィーン』


後は適当に使えそうな......

『あなたこそ』『へーそうなんですね』『空いてますか?』『僕は喋れないんですよ』『なので筆談で』『何をしているんです?』『はい』『いいえ』


ぐらいだろうか。まあ、戦闘じゃ無い限りはその場で書ける。さて、別の事をしようか。


紙束をバックにしまう。すると沢山のナイフが目に入る。


このままではバックの内側から刺さってバックに穴が開くのでは?鞘が欲しいが手元に無い。


まあ、体洗い用の布を裂いて、一本一本巻いていけば大丈夫か。


じゃあ、体をこのナイフに慣らす為に練習しようかな。


さて書庫の方が広いので書庫に移ろう。


部屋の扉を開け、廊下に出る。その瞬間、妹が通り掛かった。僕は咄嗟に持っていたナイフを半分、服の袖で隠し、手刀で妹側から見えない角度に隠す。


「............」


一瞬、不審そうな目で見てきた気がするが、いつもの変わらない冷たい目だ。その目をそっと反らし、さも何事も無かったようにドアを閉め、書庫へと向かう。


進行方向は幸い、逆。速攻で書庫へと入った。


重厚な鍵付きの扉をバタンと閉める。


危なかったぁ......父親に告げ口されたら終わる所だった。


そのまま、ナイフを袖から出して順手で狭き長尾の構えで構える。

そう言ってもピンとこないと思うが単純に右足とナイフを持った腕を前に出すだけだ。

本によると順手は攻撃、逆手は防御だそうだが実際、短剣は急いで持つ状況が多い物の為、あまり気にしなくていい。


とりあえず、基本としてナイフを前へと出し、突く。それに合わせ、右足を踏み込んで、前へと運ぶ。


その後、足を戻し、下がりつつ、逆手持ちに持ち変え、相手が剣で攻撃してきたイメージで防御する。


コレを繰り返し続ける。



汗が出てきた。


ナイフを地面へと置く。


まだ、これからだ。短剣術で戦闘する以上、格闘術は必須と言えるだろう。


目を閉じて、ナイフを持った敵をイメージ。


ナイフを右手の逆手持ちで上段から攻撃してくると仮定する。


左で相手のナイフ持った方の腕を握り、外側に捻る。それで右で相手の顎を殴る。


など、様々なイメージで対処を練習する。


さて、この辺にしとこうか。


後は本を読んで時間を時間を過す。



__________




さて、夕食を食べて、ナイフ一本一本に布を巻いた。

後、する事は無いだろう。


外へと出る。


さあ、乗車場へと行こう。


まずは大通りへと出る。

まだ日は沈み切っておらず、空はまだ明るい為、走る馬車や出歩く人も多い。


大通りから門へと歩いていく。街の門の近くに乗車場があり、そこから様々な街へと移動する。


四方位門はこの街から近い為、半日で着く。

そこから死の森へと半日だ。約1日でつく。

が、目標は四方位門を出てすぐの街だ。名前は......エーテルという名前だったような気がする。


乗車場へと辿り着き、エーテル行きを記した板を出している馬車へと向かう。

五列続けて馬車が並んでおり先頭だけ、エーテル行きの板を出していたのでそこへ行く。


前の方にはふくよかな中年の男がどっしりと座っており、横には毛皮を羽織ったゴツイ護衛のような男が座っている。


近付いて、紙束を出した。


『空いてますか?』


「丁度、一席空いてるぞ。先払いで銀貨五枚だ。身分を証明出来るものが無いなら、関所で降りてもらう。」


良かった。金貨を一枚渡す。


「銀貨五枚のお釣りだ。席は四両目だ。もう出発するから急げ。」


銀貨を貰い、


『はい』


と紙束を見せ、四両目へと向かう。


向かうまでのほかの車両を覗くと僕と同じぐらいの子からおばあさんと老若男女、幅広く様々な人がいる。相席だろうから、四両目にはどんな人がいるか楽しみだ。


そう思い、四両目を覗いた。





思わず、体が硬直する。


体がさっきの護衛よりも厳つく、無精髭の顔が怖い男と、ゴツイ金属鎧を着ている口元しか見えない男。それと茶色く焼けた肌で筋肉を露出させ、ローブを被った男。


「お前さんが四人目かぁ」


無精髭の男がそう言ってきた。なんか、言い方が怖く感じる。というか圧が凄い。


『はい』


そう紙束を出す。


「アンタ、喋れないのか」


肌の焼けた男がそう言ってきたのでこう返す。


『僕は喋れないんですよ』『なので筆談で』


「そうかぁ。......まあ、座れ」


そう、無精髭の男が言ってきたので席へと腰掛ける。


席は、四席で目の前に無精髭、横に肌茶色。斜めに鎧だ。


なんか凄い。馬車が狭く感じる。というかみんな厳つくて怖い。


「俺はゲムだぁ、よろしくなぁ。」

「お前、なぁ。人と話す時、前屈みになる癖はやめろよ。俺はレビだ。そこら辺にいる低級魔術師。」

「......弓のレブロだ。」


それぞれ自己紹介をしてくる。順番に無精髭、肌茶色、鎧の男達だ。


『名前』『アルヴィーン』


と返す。おっと、馬車が走り出した


「アルヴィーンかぁ。俺たちゃ、冒険者やってんだぁ。チーム名《クロガネの牙》でなぁ」

『へーそうなんですね』

「そんで依頼で移動しててよう。アルヴィーンはなんでこの馬車に乗ったんだぁ?」


ゲムが話しかけて来た。

おっと、ここまで細かい内容を聞かれると用意していない。カバンの中からペンを取り出す。


「筆談だと、会話をしにくいだろうが。お前。もうちょっと気にかけろ。」

「へいへい」


レビがゲムに注意している間に紙の書いていく。直接、言うと間違えなく止められるので少しマイルドにする。


『ちょっとエルフの事、調べてまして』

「エルフ、エルフかぁ......」

「観光地だもんな。エルフ饅頭とかオススメだぞ。ただし、死の森には近付くなよ〜。危ないからな〜」


レビが優しく注意をしてきた。


なんというか......見た目と違ってとても優しい。最初は思わず硬直したけど、四両目で良かった。



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