第五話 剣を交える?
食べ終わり、部屋に戻るとお湯の入った桶とタオルと服が用意されているので、軽く体を拭いて着替える。後は、桶と脱いだ服とタオルを廊下に置く。
これで後は寝るだけとなった。だけど今日は違う。いや、"今日も"だ。
まだ屋敷が静まり返るまで、時間はある。
経路の確認とスニーキングと気配を消す方法を本で復習するか。
書庫へと移動。種類別に分けられた本の中から武術コーナーへ行く。
『絞殺の為の足運びと気配遮断 Ⅰ 』『暗殺術 Ⅰ 後ろから気になるあの子を殺る方法』『簡単。人を殺る方法』
物騒なタイトルの本たちを積み重ねて、地面へと置く。胡座を組んで座って1番上の本を読み始める。
おっと、ランプが無いと読みずらい。着けないと。
抜き足差し足忍び足......心を無にし、体の意識を遠ざける。意識を薄くする。呼吸の調整。
重要なワードを切り取って脳にインプットしていく。何度か見た内容なのでスっと頭に入っていった。それを3冊分全て行う。
さてさて、そろそろ夜が更けてきた頃だろう。作戦の開始だ。書庫から出る。
縁が木製のため、あまり音を立てずに開く。
結構、夜風が寒い。早く終わらせよう。
それから建物に沿って歩く。それから僕二人分ぐらいの高さにある鉄格子がつけられた窓。そこの左から2番目の鉄の棒を外す。壁を蹴ったらギリギリ届く距離であるため入れる。
コレでギリギリ僕が入れる隙間が空いたので侵入。
そこから壁沿いを左側に進む。
このフロアは通常閉められているため、入れない。が稀に誰かが入ってくる為、気を付けよう。
さて宝物庫というか倉庫というかその部屋のドアにたどり着いた。
そしてここのドア。"お爺様に渡された鍵"で開く。
この鍵、マスターキーなの?と思ったけど、ここに行く前にあるドアは開かなかったしそうとは言えない。
さて、持っていくのは1つでいい。箱に入った指輪を一つ手に取り、ポケットへと入れる。
さて、サッサと撤収しますか。
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このあと、何事も無く普通に帰れた。せっかくのスニーキングも無駄である。
さて指輪をバックに詰めて、寝ますか。
そう思い、ベットに手を置き、座る。
ふと、窓を見ると黒装束の男と目が合う。黒装束だか体型的にガッチリとしてる為、男だろうと推測する。
はっ?声が出せるならそう言っていた頃だろう。思わず、二度見した僕はある言葉がよぎる。
『目撃者は消す』
と。
間違いなく、黒装束の男は僕を殺しに来るだろう。
そう思った僕はバックを拾い、すぐさま外へ出る。
っと思ったより早い。窓をこじ開け、僕の部屋に入ってこようとする。
僕は部屋をドアから出て外へと出た。
それから廊下の窓から脱出。すると男が間近に迫っており、男の姿が良く見えた。しかし、男は黒装束で目元以外すっぽりと黒い布を被っている。
「ちっ!」
男の舌打ちが静寂の夜にポツリと聞こえた。
やはり、僕を逃す気は無いようだ。なので戦いやすい庭に移動する。
「...逃さん」
低い声でそう後ろから言ってきた。恐怖でしかない。
すると、背後の地面に何かが刺さる音が聞こえてきた。咄嗟に男の方を向くと、ナイフを持っていることに気付く。
ヤバイ。そう思い、すぐさま前転での回避する。
最初と同じ音。やはり投げてきた。
投げナイフ使いであるのだろうか。まだ、手にはナイフを持っている。
そこで、直線か曲線だった走りを不規則にする。相手はナイフを投げる際にスピードを落とす為、追い付かれることは無いだろう。
「ネズミめ。ちょこまかと......」
男はナイフを連射する。しかし当たらない。この男、まさかクッソ雑魚なのでは?という疑問が湧いてきた。
さて、庭に着いた。戦いますか。そう思い、鞄からナイフを取る。
って?ナイフ......無いじゃん。ナイフ無い。詰んだ。素手対ナイフとか辛い。
「死ね。」
男はそう言って、こちら側にナイフの刃を向け、突っ込んできた。ナイフを取ろうとして無いことに気付く時間によって隙が生まれたのだろう。
とりあえず距離を保ちつつ、バックから何か使えそうなものが無いか探す。
紙束!硬貨!ペン!服!以上!ってマジで武器が無いです。詰んだ。仕方ない。ここは書庫にあった『ステゴロで勇者に勝った中年冒険者の話』の知識を活用するしか......
男が来た。男のナイフはこちらから見て左側に寄っているため、右利きと推測。
手が届く範囲になった為、ナイフを左側に逸らし、自分の肩の上、頭の真横にナイフを持ってこさせるように両手で男の腕を掴み、誘導。そのまま自分の体を後ろに倒れ、男を引っ張る。
「っ!」
男は子供だからと油断したのか、驚きの声が漏れる。
倒れると同時に、右足の裏を相手の腹部に持っていく。うっ!?背中いってぇえ!?って、おもっ!だけどなんとか耐えれた。
男はナイフを地面に突き刺し、真後ろに投げられる。そう、巴投げである。
男は何が起こったかさっぱりだろう。しかし、すぐに状態を立て直す為、すぐさま距離を取る。
良かった。ナイフを置いていってくれた。とナイフを拾うと、男が逆手持ちで接近してきた。慌てて、拾ったナイフでガード。それからの足払い。
男は引っかかり、バランスを崩すがナイフを持ってない手で片手側転し、距離を取る。
「てめぇ、何もんだ?」
男がそう言った。返さなければと注意しつつ、紙束を出す。
1番最初にあったのは......
『我は"魔神の片腕"。逆らうモノは破壊する!さあ、我に従うがよい。』
使えないーーーー!!
2番目!2番目は......
『我に逆らうというのか?』
あ、ダメだこれ。ち、違うやつ、話を繋げられるやつは何か.....パッと見、無い!そして新しいのを書くには時間が......
もうこれでいいや!問答無用!
『最後に』『名前』『を聞いていいですか?』
そう、男に見せる。
「俺を殺す気か?何もんかは知らねえが、容赦はもう無いぞっ!」
男はなんか知らないけど、言葉に乗せられて突っ込んできた。
男の連続突きを危なっかしく、避ける。しかし終わらない。コレは1回退避した方がいいな。
相手の動きを見ながら後ろに退避する。
「待て、ガキ!逃げる気か!」
男は数本、ナイフを投げているが、見ていたので避けられた。
そして、バック内の紙束からこれを出す。
『ふっ、その程度か。』
「くっ!ガキめ。」
ようやく会話が成立したような気がした。
って、紙束出した拍子になんか落とした。あ、闇ギルド『アルデイラ』の黒のカード落とした。夜だから見えにくいけど、男の目の前に落ちてた。
「ん?なんだこれ......ア、ア、アルデイラっ!?」
男はカードを拾って見ると、震えてカードを落とした。
「あんな化物揃いの集団と相手してられっか!!」
男はそういい、一目散に逃げていった。
なんだこれ......なんで逃げたんだアイツ......?
男が落としたカードを拾う。
えっと......暗殺者、撃退成功?いや、それよりも喜ぶ事がある。
ナイフ、ゲットォーー!
全部回収して行ったら十四本手に入った。美味い。
さて、寝ますか。
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