第四話 帰ってから
無声4
朝だ。起き上がると昨日の疲れが溜まっている。夢じゃないかと確認する為に隠したバックを見る。
大丈夫だ。白金金貨と金貨は有る。と洗った服も。そして......闇ギルド『アルデイラ』の黒のカード。
確認した後、すぐにまた隠した。......これホントどうしよう。闇ギルドに入るとは予想外だ。
と......服が別の服にはなってると怪しまれる。サッサっと着替えよう。
さて朝食に呼ばれるまで、書庫から持ってきた本を読みますか。題名『魔術師の弱点 Ⅰ 』
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ダイニングルームにて
「............」
「............」
「............」
「............」
無言での咀嚼する音、音は五つ。ダイニングルームにいるのは僕の妹と弟、それと父親と母親。
席が心無しか僕だけ離れてるような気がする。
静かな食事。ただ食べるだけの作業なのだろうか?そう思えるような寂しい食事。これが毎日の食事だ。
と思いきや、久々に父親が口を開いた。
「お前には魔法学園の入試を一年後、受けてもらう。落ちたら、冒険者となって家を出ろ。まあ、冒険者行きは確実だろうな。せいぜい頑張るといい。」
突然の肉親からの育児放棄宣言に驚きつつも喜びが湧き上がる。ようやく開放され、自由の身になれるのだ。喜ばない訳が無い。
そのまま食事を終え、部屋に戻る。
さて、冒険者になるまでに力を付けねば......計画を早く進めよう。今日、深夜にネックレスか指輪を拝借し、朝食を食べてから屋敷を出る。それから馬を手配して外へと出よう。
それまでは型の形を復習しようか.........無い?ナイフが無い!無い!えっと......確かナイフを出した時は......あのゴロツキを倒した時。
ああああああああぁぁぁ!!武器が無いぞ!コレでは戦えない!!くっそ。どこかで買うしかない。アレがしっくりきてたのに......
ああもう、暇だ。本を読むか?いや、だけどあの本達は四巡目に突入する。
何かすることは無いかな?そうバックを開くと紙束を見つける。
そうだ。コレであらかじめ必要そうな言葉を書いていこう。
もう書いてある文字は、『ありがとう』『最後に』『名前を聞いていいですか?』だ。
いや、『名前を聞いていいですか?』の『名前』の部分を塗り潰そう。『を聞いていいですか?』となった。
次は新しい紙に、『名前』『道』『値段』と書く。コレで分岐点は三つに分かれた。多少は使いやすくなったと思う。
後、謝罪かな?『すいません』
それと......うーん......思いつかないや。
適当にマイバイブルの英雄記から引用しよう。
『ふっ、その程度か。』『我が剣技、とくと見よ。』『無駄だ。』『効かんな。』『甘い。』『神に誓おう。』『そうだな。』『なるほど。』『ご主人様!』『その剣技、気に入った。』『我が嫁となれ』『死ね〜!』『あ、すいません。』『エターナルフレイム!』『うぁあ!!右腕がァアアア!!』『我は"魔神の片腕"。逆らうモノは破壊する!さあ、我に従うがよい。』『我に逆らうというのか?』
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はっ!?僕は一体何を!?
無心となって引用していったら、明らかに使わないモノまで紙に書いてしまっている。
消えないし、紙の無駄となってしまう為、取っておこう。
後半は使う機会が無いことを祈る。
後、数字を書いておこう。何かと使えると思うし。
『1』〜『9』の紙を三枚。計、二十七枚だ。
ああ、疲れた。夜、活動するし、今は寝ておこうかな?
おやすみ〜
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ふぁああ......もう夕方か。
さて、バックがベットの下にあるか確認と。
ある。
おっと、紙束出しっぱなしだった。片付けよう。
さて、することはし終わった。四巡目に突入するか?いや、パラパラと捲っただけの本は一応ある。魔術書だ。若かりし頃に開いたあの本。知識を蓄えた今ならばきっと読破出来るだろう。そう思い、適当にページを開く。
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うん。意味不。っておいちょっと待て。呪文自体の意味を完全に解読出来ていないため、丸暗記しましょう!?一語一句間違えずに唱えなければならない、そうしなければ魔法自体が発動しない!?
おいおいおい。あの長文を覚えろと?ふざけている。滑舌悪かったら終わりじゃないか!?
うん。諦めよう。そうしよう!
そうして本を閉じるのであった。
そうして暇を潰していると町中に鐘が鳴り響く。
おっと鐘が鳴った。もうすぐ夕飯か。サッサと言って食べてくるか