035 だれ、このお嬢様は?
<西宮月視点>
月、西宮月にとって今日ほど楽しい日はない。うっひっひーな気持ちが抑えられない。自然に顔がにやけてしまう。だって、西洋ドールこと森崎弥生ちゃんが作るコスプレは最高なんだよ。よだれが止まらない。
本日の弥生ちゃんのコスプレは執事バージョン。初の男性衣装。栗色の髪を束ねて丸めてから頭の上にピンでとめてある。色白の細いうなじがエロ、エロではないか。黒の衣装が青い瞳を引き立てている。ピッチリしたパンツルックが体のラインを強調し、スラリとした細い指に白手袋。やばい、やばいーよー。弥生ちゃん。惚れてまうではないか。
んで、佐々木瑞菜様はベトナムの民族服、アオザイとチャイナドレスを合わせたような弥生ちゃんオリジナル。体にそった白一色の衣装に手の込んだ刺繍が施されている。弥生ちゃん、あんた本当に高校生?コスプレ製作ではプロすら霞んで見える。
おっと、話を瑞菜様に戻そう。純白のオリジナルドレスが艶やかな黒髪と瑞菜様のシュっとした顔立ちを強調している。神様もなんてことをしてくれるのだ。瑞菜様はもはや人間と言うより天使様だ。薄手のシンプルな白い生地から透けて見えるほっそりとした肩と二の腕。出しゃばりすぎない胸のふくらみ。完璧だ。そして、動くたびに腰から下の両サイドのスリットから覗くおみ足。ヘタに全部露出しているよりエロい。悩殺されるではないか。無敵美少女、佐々木瑞菜。貴方はどこまで美しくなれるの?
「月ちゃん。見惚れてばかりいないで次は月ちゃんの番だよ」
「えっ。月はいつもの動物キャラじゃないの?」
執事の衣装をまとった弥生ちゃんが月を姿見の前に立たせた。
「今日の主役は月ちゃんです。変身させて見せるわよ。瑞菜さん、メイクをよろしく」
「わかりました。弥生さん!準備はバッチリです」
二人がかりで月の服をはぎ取っていく。美少女二人に囲まれて為すがままにされるのは、意外に恥ずかしい。月は攻撃は得意だが、防御は苦手なんだ。瑞菜様がシェーバーで顔の産毛を取り除き、眉を整えてくれる。おでこや襟元まで入念にお手入れしている。気持ちいい。
「ほら。顔の色がワントーン上がりました。顔ぞりするとファンデのノリも良くなります。素材がいいからナチュラルメイクでいきます」
瑞菜様は満足そうに宣言した。ほほにチークを少し。アイシャドーをちょっとだけ足して切れ長の瞳に。プルプルに見える薄いピンクのルージュを引いて。瑞菜様は楽しそうだ。弥生ちゃんは弥生ちゃんで、月の体をいじり回している。
「中学3年なんだから、わきだけでなく腕や脚、背中の産毛にも気をつけないと」
レディースシェイバーが全身を這いまわる。むずかゆい。思わず声が漏れてしまうぞ。
「むひゅ、むひゅ」
「我慢しなさい!『大人かわいい』になる第一歩です。ほら、つるつる。赤ちゃんみたい」
やっ、弥生ちゃんの手が全身をなでなでしてくれている。ふひょー。気持ちよすぎ。死んでもいい!
「じぁあ、次は着付けね。この幼児体形を何とかしないと。瑞菜さん。ドレスのウエストのヒモを一緒に引いて」
「はい。せいのー!で、お願いします」
んーぐー。きつい。死にたくない!
「胸パットを加えてボリュームをアップ。日に当たりすぎて少し髪が痛んでいるからウイッグを乗せて。銀のカチューシャとイアリングを付けて。はいできあがり」
月は鏡の前に立たされた。
「だれ、このお嬢様は?」
「ふふっ。完璧だわ。こら、月ちゃん。背筋を伸ばして!」
弥生ちゃんは厳しい。




