024 さあ、才能をさらすがよい
<森崎弥生視点>
佐々木瑞菜さんが私立修学館の体育祭に来ている。信じられません。あの、国民的無敵美少女、アイドルですよ。もう、学校中が大盛り上がり!彼女の大胆な行動にはいつも驚かされっぱなしだ。
彼女ならヘタレな西宮陽くんを変えてくれるかもしれない。私を変えてくれたように。私の瞳はつめたく暗い青色。魔女のような瞳だと思っていた。この日本はおろか、恐らく世界中でもただ一人。ずっと隠し続けてきたコンプレックス。
そんな瞳を瑞菜さんは『とってもきれいです』とキッパリと言ってくれた。私を見下すこともなく、恐れることもなく。嫌うこともなく。
うれしかった!
私は西宮陽くんが好きだ。保育園の時から、ずっとずっと陽くんを見てきた。瑞菜さんは私と同じで陽くんが好きだ。だから私と瑞菜さんは恋敵。
佐々木瑞菜が私に宣戦布告してきたんですよ。信じられます。国民的無敵美少女アイドルが、ひねくれ者で変態の私なんかをライバルとして認めてくれたんです。だから私は変われました。もう、髪をそめたり、カラコンを入れたりしないんです。
彼女がいなければ、私は自分の秘密を隠しながら、陽くんに近寄る女に子を排除することだけが楽しみの腐った女の子になっていたかもしれない。瑞菜さんは陽くんの前でカミングアウトする力を与えてくれた。佐々木瑞菜は私、森崎弥生を救い出してくれた女神なんです。
瑞菜さんが知らない西宮陽を私は知っている。ヘタレな陽くんも母性本能を刺激するって言うか、嫌いじゃないけど。陽くんは佐々木瑞菜同様、神に選ばれた男の子なのだ。
私は知っている!
佐々木瑞菜は自分の運命を受け入れて、なるべくしてアイドルになった。西宮陽は運命にあらがってヘタレを演じている。ヘタレのままなら私にもチャンスがある。今の私ならきっと。でも、それはフェアじゃない。
私は私立修学館高校、生徒会風紀委員長。西宮陽を本来の姿に更生させることをライフワークとしている。彼女に本気の西宮陽を見せてやる。それが私を変えてくれた佐々木瑞菜への礼儀なのだ。
さあ、才能をさらすがよい。西宮陽。
あれ、私ってなんだか魔女っぽい?そんなことありません。あーあー、それでも、魔女のコスプレでキメ台詞をはきたい。私のゴーストがそうささやくんです。




