022 見せてあげよっか!
<西宮月視点>
月はリビングで自分のアルバムを見ていた。瑞菜様は映画のロケで京都にご旅行中。弥生お姉ちゃんは彼女に遠慮して遊びに来ない。そう言う律義なところが弥生お姉ちゃんらしい。久しぶりに兄貴と二人っきりの夜を過ごした。二人がいないことで、兄貴はヘタレ感たっぷりでソファーに寝そべっている。
やっぱり月ってかわいい。えへへへ。
最近は佐々木瑞菜と森崎弥生の生写真が加わって月のアルバムは美少女コレクションとして完成されつつある。
うひひ。世間の男どもがみたら、興奮して心臓発作間違いなしの丸秘写真が満載。佐々木瑞菜の寝起きショットに森崎弥生のメイド喫茶バージョン。弥生お姉ちゃんは、なにを隠そうコスプレオタクだったのだ。兄貴に隠れて三人で弥生お姉ちゃんの家でコスプレ大会をした。
うぁー。栗色の透き通るような地毛、日本人離れした豊かな胸、キューっと引き締まった腰。極めつけはカラコンじゃない青い瞳。ピッチピチのボディスーツは二次元のアニメキャラもぶっ飛ぶ。ぱっくりと開いた胸元が月の脳をとろけさせる。
おぉー。瑞菜様の巫女姿。キリリと引き締まった端正な顔立ちと腰まで届く束ねた黒髪がまぶしい。うなじの産毛がエロすぎる。飾り立てないシンプルな衣装ほど瑞菜様を引き立てる。神様の使いと言うより神様そのものだ。
おにょ。なんで月だけ子猫の着ぐるみ。それでもかわいいではないか。愛くるしすぎる、西宮月。さらにゴスロリモードなんて自分を見て顔が火照る。こんな美女三人のハーレムに暮らす兄貴は罪な男だ。
「兄貴、見せてあげよっか!月のアルバム」
『特別だよ』感満載の笑顔で言った。
「興味ない」
あっさりと切り捨てられた。つれない返事た。
「なんでよー。兄貴は美味しいものには興味津々だけど、美しいものには興味ないわけ」
「月の提案には必ず裏があるからな」
兄貴は眠たそうに再び目を閉じた。まあ、しゃあないか。一緒に興奮したかったのに。月は何気なく保育園から小学校までのページをめくった。
「ん?」
兄貴のアルバムになかった写真が沢山ある。
「書道の全国大会の盾を持った兄貴」
「数学のコンクールで文部科学大臣賞を授かる兄貴」
「全国ピアノコンクールの優勝トロフィーを持つ兄貴」
「陸上大会の日本記録更新レコードの前にたたずむ兄貴」
数学コンテスト、漢字コンテスト、スピーチコンクール、スキー大会、水泳大会。絵画にお花。数え上げたらきりがないくらいの受賞写真の数々。その横で幼い月は兄貴を見上げていた。
そう、兄貴は中学生になるまで神童と呼ばれていた。出る大会、出るコンテストのほとんど全てが兄貴の名誉となった。
そして、兄貴が小学校六年になって、名門修学館中学校を受験する矢先に事件がおきた。それ以来、兄貴は目立つこと嫌うようになった。ヘタレでいることを自分に義務づけたのだ。




