015 ドラマの演技練習の相手を
<西宮月視点>
ぬぬ!我が家の玄関にあやしい人影。
おぉー。手に持つあれは金松堂のいちご大福ではあるまいか!月の大好物。
しかし、いったいあれは誰じゃ?修学館高校の制服と言うことは兄貴の知り合いか?
おっ。こっちを向いた。門のかげに隠れなきゃ。
かっ、かわいいではないか。栗色の髪、日本人離れしたぷるるんな胸。大きな瞳!和美人の佐々木瑞菜とは対極の西洋ドール。短めのスカートから覗くプチプチの生足。うわ、涎がたれてる。
あんな子が高等部にいるのに月のネットワークにかからないとは。抜かった!
兄貴もやるじゃないか!ってもう浮気かい。国民的無敵美少女を相手に浮気とはいい度胸をしている。
あっ。玄関のドアを開けた。
「こんにちは!」
ドッキューン。玄関で兄貴と瑞菜様がハグしている。まだ日も高いと言うのに大胆な。てか、西洋ドールと完全に鉢合わせしているではないか!
きっ、金松堂のいちご大福がーーーーー!床に落ちた。西洋ドールが凍りついている。
「ちょっと!西宮くん」
「あっ。森崎さん!」
「不潔よ。信じられない」
パタン。
西洋ドールを残してドアが閉まる。
しゅ、修羅場だ。ど、ど、どうしよう!てか、瑞菜様が我が家にいることがバレた。どうする西宮月。
あっ。西洋ドールがこっちに駆けてくる。秘密を知られた以上、逃がすわけにはいかない。運動能力なら誰にも負けない。キャーッチ。
「離して!」
「無理!」
ってかムニュムニュって両手に伝わるこの感覚はなに?うぉっ。プリプリの大人のバストではないか!気持ちいい。
「痴漢!」
うっ。それはあんまりだー。
「月、女の子なんですけど。ほら一応、スカートですし」
「えっ。月ちゃん!」
「だ、だれ?」
「森崎弥生。覚えている?」
「弥生ちゃん!?保育園の年長組の、あの弥生ちゃん。赤ブチメガネの弥生おねえちゃん!!」
「そうよ!」
「なっ、なぜに西洋ドールなんかに」
「この髪の毛は生まれつきなの。保育園の時からずっと染めてたのよ」
「えっ、えー」
ガチャリ。
兄貴と瑞菜様がドアから現れた。
「ごめんなさい。驚かせて。今度のドラマの演技練習の相手を西宮くんにお願いしていたの。ねっ、西宮くん」
で、でたー。女の子も虜にする天使スマイル炸裂!
「そうなの?西宮くん」
森崎弥生が真っすぐに兄貴の目を見すえている。頼む、兄貴。目を泳がすなよ!
「ああ」
「ホントに?」
「うん。まあ」
さすが、無敵美少女!瑞菜様。兄貴も良くやった。
「弥生先輩!ここじゃなんだからお家に入って」




