止まない雨
お久しぶりです!!
2、3年ぶりかな?
もうそんな経つんですねw
すみません。放置しておりました
以下駄文ですが、どうぞ
(…おかしい…校舎の出口がない)
先程、目が覚めて帰ろうと思ったのだがどこにも降りれるような階段が見当たらないのだ。
(…どうしよう…マズい、早く帰らないとお母さんが心配する…)
(…仕方ない、ここは勇気を出して、窓から飛び降り…っ!!)
そこにはあるはずの地面がなかったのだ。
(なぜ? なぜ? ここはどこ?…ワタシハダレ?)
「っ!! あああああああ」
怖い。怖い。怖い。何もない自分に、自分が知らない自分に恐怖を抱いた。
どうしようもなく、彼女は誰もいない教室で叫ぶ。その声は空虚感の漂う部屋でただこだまして、誰かに届くことなく消えた。
(誰か私を、私をみつけて…)
そう、強く願った。
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「ダメな子だなぁ、玲は。もう少し待ってくれなきゃ…」
「蓮も急いでくれなきゃねぇ? ここはもう保たないよ、王子様?」
ふふっと、微笑んで少女は校舎を後にした。
■■■
「ねぇ、迷子のお姉さん。こんなところで寝ていたら 風邪をひくよ」
不意に声をかけられて目を覚ます。そこには傘を持った少年?がいた。
「え……私ですか?」
「そう貴女だよ、お姉さん。というか、僕とお姉さん以外ここには誰もいないしね、僕が声かけてる人はお姉さんしかいないんじゃないかな?」
寝起きで思わずとぼけた質問をしてしまった。恥ずかしい。
確かによくみると周りには私と目の前の少年しかいない。ここは住宅街のはずれにある公園のようだ。と、そこで先ほどのことを思い出す。
「っ…あの、ここら辺に学校はないですか?階段のない校舎なんですけど」
「学校はあるにはあるけど、階段がないってことは平屋建てってことでしょ? 今どきそんな学校ないと思うけどな」
「いや…そ、そうじゃなくて…に、二階建ての」
「二階建てで、階段がないってのはきいたことないなぁ。なんのために造ったのかわからないしね。…カモフラージュとか?テーマパークかなぁ」
そうだ、普通は階段のない二階建ての校舎など存在しない。少年の言う通り、テーマパークでのカモフラージュとしてしか、意味のない階段は存在しないだろう。
やはりあれは夢なのか、そう思ってほっとする。
「そういえば、名前を聞いてなかったね。僕は、結衣。お姉さんは?」
「ああ、えっと…玲よ。レイってよんでね」
「んじゃ遠慮なく。レイって、もしかして、コーコーセイ?」
「…うん、そうよ。高校2年生になるんだけどって、あれ?」
「ねぇ、ユイ。私いつからあそこにいた?」
「僕が通りかかったときにはすでにそこのベンチで寝ていたよ?」
「じゃあ、質問を変えるわ。何故ここは妙に静かなの?」
「…そりゃ雨が降っているからじゃない?止まない雨が」
夢のあの教室と違って私が誰であるのか自覚はある。だが、玲は自分が何故公園のベンチで雨の中寝ていたのかがわからないのだ。まるで記憶がかっぽりけずられてしまったかのように。
「それより、早く行こう。雨で濡れちゃうよ、お姉ちゃん」
そう言って結衣は私に向けて手を差し出す。
だけど、私の危機意識が言っている。この手を握り返しちゃダメと。
「…お姉ちゃん? ねぇ、レイ? きいてる?」
「あ、ごめん。…私、用事を思い出したから、先家帰っておいて、私は大丈夫だから」
そう言って玲は結衣の手を振り払う。
「…嘘つき…お姉さん、ほんとは帰る場所なんてないくせに」
「え?」
玲は結衣の先ほどとはうって変わった、冷徹な声に驚く。
「そうやって、そうやっていつも隠して隠して、お姉さん楽しい?」
少年はクスリと笑う。
(やめて、やめて、やめて。これが悪夢なら早く覚めて。)
そんな気持ちを見透かしたように、
「ダメだよ、レイ? ここは夢じゃなくて…きみの…」
少年の声にノイズが入る。まるで私が聞いてはいけないような、そんな気がした。
雨はまだ止まない。