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始まりの雨
今日もこの世界では雨は止まない。
そして、これからも止むことはないだろう。
「ねぇ、迷子のお姉さん。こんなところで寝ていたら 風邪をひくよ」
傘をさした彼女はそう言った。
暗い。寒い。ここは嫌だ。孤独は嫌だ。
「あら、おはよう」
「誰?どこにいるの。ねぇ、答えて、ここは、どこ?私をかえして」
「僕にきいているのかい?あれ、可笑しいな。キ・ミは捨てられたんだよ」
気がついた時、私はこの街にいた。嫌な夢をみた。夕立。夏の蒸し暑さが肌に嫌でもくっついてくる。
帰らなければ、そう思った。私は立ち上がってこの校舎を後にした。