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重の時間

「八神重、お前はどうなりたい?。」

 創士の声が響く。1年生に対して2年3年がつき訓練をすることになった。重は創士との訓練にあたったのだが開始直後に創士からそう尋ねられた。


「火祭剣は既に道が見え始めている。おそらくこのままいけば七星になることはできるだろう。矢沢澪も同様だ。彼女は自己変化型で更に帝すら修得している。歴代の中でも屈指だろう。だが八神重お前はどうする?。どうなりたい?。」

 現実を突きつけるような創士の発言。実際澪はコンビトーナメントの優勝で名を上げ剣も七星である夢坂と切迫した戦いを演じた。


「…お前は異端だ。level2の魔法までしか使えず更に属性もひとつ。ここまでくるだけでもそれは前代未聞だ。それはもちろん評価に値する。並々ならぬ努力があったのだろう。だがその先はどうする。何かビジョンはあるのか?。七星は願うだけで勝ち取れるものではないぞ。」

 創士とて重のことは認めている。並の使い手ではないと。星光の入学者の平均的な使用levelは3か4。2までしか使えないのは重だけだった。いずれぶつかるであろう壁。その時は重はどうするのか


「僕は…この多重魔法で。この魔法で今までやってきました。でも、それだけだとダメだと分かりました。それからは…魔力のコントロールの精度を上げたり…遅延魔法を使ったりして…それでも勝てなくて。」

 重も自分の胸の内をさらけ出す。剣と澪の活躍が嬉しくなかったことはない。けれど同時に焦りもあった。自分の成長はどこまで道が続いているのかもわからない。今そこで打ち止めになるかもしれない。その不安と戦ってきたのだった。


「うむ、…俺は一度お前以外で多重魔法を見たことがある。他の国の人だがな。」


「っ!。」


「だがその人はお前とは全てが違ったがな。使える属性も二つ。更にlevelは5。level5の魔法を連発するその姿は畏怖さえ覚えた。歳は俺の一つ上だが…その国での国家魔道士にあたる大将に就いたらしい。」


「どうしてそれを僕に?。僕にはそんな才能なんてないのに。」


「どうしてだろうな?。…もしかしたら俺はお前にその人を超えて欲しいのかもしれん。ただまぁ今のままではそれは叶わんようだがな。…改めて聞こう八神重。お前はどうなりたい?。」


「僕に出来るのは…壁を越えること。努力を続けること。立ちはだかる壁を壊す。壊せないなら飛び越える。飛び越えれないならもぐり通る。もぐり通れないなら戻ればいい。別の道を見つける。目指すゴールへの道はひとつじゃない。」

 まだ先は見えない。しかし立ち止まることはしないという覚悟を伝える重。


「ふふ、お前もなかなかバカなようだ。今の話をした後でまだそこまで言うとはな。…まだ限界を決めるのは早いな。この合宿で自分のビジョンを探れ。何かを掴め。道を見つけろ。そうすればお前は強くなるだろう。その為に手は貸してやる。」


「手始めに…火拳とやらの有効活用を試すといい。現段階でそれがお前の1番の強みだろう。組手だな。接近戦の訓練だ。」

 そう言い構える創士。重は火拳を使うが格闘に関してはあまりうまくない。そこに成長を見出したのだった。


「はい、お願いします。」


「取り敢えず10回だ。10回気絶しないように気をつけな。」

 創士の猛攻が始まったのだった。

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