合宿2日目のスタート
「おやおや、誰も起きてこないと思ったら…。」
若草の声がする。心なしか小声になっている。
「まさか全員この部屋におるとはな。多分昨日の夜ゲームでもしとってそのまま寝てもうたんやろ。状況が物語っとるわ。でもまぁ、もう起きなあかん時間やからな。心を鬼にさせてもらうで。」
若草につられて小声になる風待。若草と風待は朝ごはんの時間になっても現れない1年生の様子を見に来ていた。そしてそこでは全員が雑魚寝で寝ていた。
「起きんかい‼︎。もう時間やで‼︎。」
風待の大声が部屋に響き渡る。
「え⁉︎あ、私達…。」
澪が飛び起きる。そして即座に状況を把握。
「花凛さん、茜ちゃん、起きてください!。ここは剣さんの部屋ですよ。」
慌てて花凛と草薙を起こす。澪の中では一つ屋根の下で暮らすことはなんの問題もないが流石に同じ部屋で一夜を過ごすことは耐え切れなかったのである。
「え…『ボンッ‼︎』。」
「うわー、茜ちゃん顏真っ赤になってるよ。可愛い〜。」
澪に起こされ重と同じ部屋で夜を過ごしたことに顏を赤く染める草薙とそれを茶化す花凛。しかしその花凛の口元にはよだれが垂れている。
「花凛‼︎。もぅ…いくよ!。」
草薙が花凛と澪を引き連れて部屋を後にする。
「あ、おはようございます。大樹さんと風待さん。…なんでここに?。」
少し遅れて重が起きる。がまだ寝ぼけているのか状況を判断できていない。
「おはよう重君。残念だけどもう朝食の時間なんだ。」
「そやぞ。はよ来んかい。…それにしても…こいつはまだ起きひんのか。」
風待が言うこいつとは誰か…、当然剣である。常日頃から遅刻を常習化している剣は合宿だからといって変わることはない。それを大物の予感と取るのかただの問題児と取るのかは意見が分かれるところであるだろう。
「おい、剣!。起きろって…」
「ご飯ご飯!。お?剣君はまだ寝てるのかい。仕方ないな〜。」
重が剣を起こすことを試みている時最低限の身支度を終えた女性陣が通りかかる。
「チェストー‼︎」
鬼のダイブ。スヤスヤと寝息を立てる剣の鳩尾に花凛が飛び乗る。
「ぐはっ!…な、なにが⁉︎。」
腹を抑えのたうち回る剣。
「剣君!。朝ご飯、朝ご飯だよ!。」
「わ、わかった。分かったから耳元で叫ぶな。」
飛び起きる剣。こうして剣は起床を促されて最速で起きたのだった。
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「やれやれやっと揃ったか。」
創士がため息まじりに言う。
「まぁ浮かれる気持ちも分からんでもないがな。以後気をつけてくれ。…この件はこれで終わりだ。飯にしよう。」
創士のその言葉を合図に朝食が始まる。その話題は…
「それで今日の予定だが…午前は師事訓練とする。1年にそれぞれ担当を決め訓練を行う。先ず俺は…八神重。真利谷は草薙茜。若草大樹は花凛だ。風待は火祭剣。並木は矢沢澪。内容は各自に任せる。」
「午後は決闘訓練だ。組み合わせはくじで決める。勝ち負けにこだわれよ。」
「俺からはこんなものだな。今日も気合を入れろよ。」
合宿2日目スタート。




