会長として
『ガッキーンッ‼︎』
若草の拳と創士の盾がぶつかる。お互いの力が均衡し2人をはじきあう。
「ぐっ、まただ!。」
若草の肘から火花があがる。遅延とコントロールによる最後のブースト。弾かれたことなど恐れずにもう一度殴りかかる。
「…熱いお前が見れてよかった。だが可愛い俺の後輩達も見ている。生徒会の長として譲るわけにはいかん。『※※※※※』…あと少し俺に力を貸せ‼︎。」
創士が吠える。その咆哮と同時に螺子巻殻から一振りの刀が飛び出してくる。紛れもなく名刀であると一目見ればわかる白い刀。刃には紅い筋が走りそこに魔力が流れ込んでいる。創士がそれを掴み振り向きざまに横に薙ぐ。
「な⁉︎。くっ、止まらない。ならば…」
咄嗟の事に拳の勢いを止めることができない若草。しかし瞬時に刀ごと殴ることを決意する。
『キーーン。』
高密度の魔力と魔力がぶつかり火花を散らす。燃える拳と白い刀。その結末は…
「…俺の勝ちのようだな。」
若草の首元に刃を添えた創士。
「…ですね。僕の負けです。」
手を挙げ降参を告げる若草。2人は顔を見合わせ魔法の発動をやめ地面に座り込む。
「ふー…疲れたな。魔力がもう空っぽだ。久しぶりの感覚だ。ここまで自分で追い込むこともできないし逆に他人だとここまで到達できてないからな。楽しかったぞ。」
創士がじめんに横になりながら言う。その表情は晴れやかなものだった。
「そうですね。確かに楽しかったです。ですが僕としては是非とも勝っておきたかったですね。貴方が卒業するまであまり時間もありませんし。」
若草も創士に習い地面に横になる。そして腕を頭の後ろで組んで言う。少し寂しそうに見えたその顔を見間違いだろうか。
「言ってくれるじゃないか若草大樹。だが俺は負けんよ。お前達が強くなるなら俺は更に強くなろう。お前達にとって壁であり続ける。それが生徒会長の役目でもあると思っている。まぁ霧島飛春にはそんなもの関係なかったようだがな。」
「彼は少し変わってますからね。それが彼の魅力でもあるのですが。…あ、そうだ。level6の発現おめでとうございます。事実上最高levelの魔法。会長なら使いこなすと信じてますよ。」
若草が上体を起こし創士を祝う。
「ふっ、まぁいつも通り俺は努力を重ねるさ。もちろん使いこなすつもりでな。さぁて、そろそろ戻るか。」
2人は起き上がり他の面々の元へ戻っていった。その後各人での自主トレを行い日がくれた頃に宿舎に戻った。
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「はぁ〜、今日の戦い凄かったな。」
場所は剣の部屋。重は夕食のあと剣の部屋を訪問していた。
「ん、あぁそうだな。確かにな。まぁ嫉妬は禁じ得ないけどな。今の俺たちではあそこまでは出来ないからな。」
「level6だって。まさか学生のうちに見れるなんて思わなかったよ。」
「level6…実質最強のlevel。level7の発動条件がアレである以上それは変わらない。まだ名前を詠唱することすら出来ていなかったのにあの刀…。あれはヤベーよ。」
創士が錬成した白い刀。その只ならぬ気配を同じ武器を使う者として剣は感じ取っていた。
「そうだね。それに大樹さんのあれ…大樹君人形。あれって…どうなってるの?。わけわかんないよ。」
重の方は若草の魔法に目がいったようである。少しではあるが若草から魔法について学びその奥深さを知った。だからこそあの魔法の次元の違いを感じていた。そんな2人のところに訪問者が現れる。
「ふふふ…それには私がお答えしよう!。お兄は自分の体の動きに対して大樹君人形が動くよう遅延魔法を混ぜ込んでいたんだよ。だから…喋っていたのはフェイクだね。」
花凛である。若草の魔法の秘密をペラペラ喋る。それは兄の魔法はそれを知られても問題ないことを知っていたからである。
「探したよ剣君。バスの中での約束を果たしてもらうよ。さぁ遊ぼう!。何して遊ぶ?。トランプ?。人生ゲーム。」
どちらも2人で遊ぶのには向いていないゲームである。当然…
「ま、待て。そのチョイスはおかしい。そうだ!。折角だし1年全員で遊ぶか。よし、そうしよう!。重!もちろん、参加するよな。」
有無を言わせぬ口調。花凛の相手を1人でするのは疲れるので周りを巻き込むつもりである。
「え、俺は疲れたしそろそろ寝…」
「よし、花凛!。矢澤と草薙を呼んで来い。遊んでやるぞ。」
「やったー‼︎。呼んでくるね⁉︎。」
駆けていく花凛。
「…剣。俺はまだ良い。この場にいたからね。でも…多分澪ちゃんと茜ちゃんは怒ると思うよ。」
その後花凛に連れられた澪と草薙が剣の部屋を訪れ1年生ゲーム大会が開催された。




