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心の強さ

『キンキン…パキキッ。』

 大きな氷の塊が鎮座している。そしてその氷塊を見つめる真利谷。


『パキキッ…パリーン‼︎。』

 氷が割れる音が響く。


「っは!。はぁはぁはぁ…私は…」

 その氷の中から澪が現れる。氷漬けにされていたため髪には氷のかけらが付着している。


「あら?思っていたより早かったですね。このまま終了まで凍っていて貰おうと思っていたのですが。」

 そんな澪に対して真利谷が告げる。


「やはり…私は…凍らされていたのですね。水獄を凍らされた時、圧倒的な魔力が流れ込んできました。そして…私は閉ざされました。意識はあったのですが動くことができませんでした。」

 澪が地面に膝をつきながら言う。


「それが何を意味しているか分かりますか?。」

 真利谷が澪の目を見ながら言う。


「…はい。支配力で負けているということです。それはつまり…現状私に勝ち目がないということです。」

 自分の劣勢を素直に認める澪。


「そうです。自己変化同士の戦いでは空間を支配した方が勝ちます。特に…私と貴方はそうです。水と氷という関係性。お互いに直接干渉し合うわけですからね。」

 水は氷になり、氷は水になる。その間に優劣はない。 今回の結果を招いたのは実力の差が如実に出たためであった。


「貴女は…本当に自分を信じれていない。心のどこかで私に勝てるわけがないと思ってしまっています。謙遜は日常では美徳とされるかもしれませんが、戦いの場ではそれは…ただの負け犬です。挑むことをしないなど…愚か者のすることです。」

 真利谷が澪に対して厳しく叱責する。しかしそれは澪に強くなってほしいが故の言葉であった。


「…………。」

 真利谷の言葉を受けて何も言えない澪。ただ地面を見つめるだけだった。


「(ここまで言ってもダメですか。才能があってもそれを使いきれない人を見るのは…忍びないですね。ですが…これも仕方のないこと。…終わらせますか。)終わらせて私もあちらに行くとしましょう。2人でやれば夢坂君といえど勝ち目はないでしょう。」


「…それはダメです。確かに私は真利谷さんに勝てると思っていません。ですが…それでも負けるとも言ってません‼︎。夢坂君が信じてくれた私を私は信じます。」

 そう言って勢い良く立ち上がる澪。その目には覚悟が宿っていた。


「『白浪』‼︎。「水成槍」。更に「散り霞」…」

 白い霧を発生させそこに同化する澪。


「ふ、まだ折れていませんでしたか。良い事です。覚悟のほどを見せてもらいましょう。」

 そう言い真利谷は笑みを漏らす。真利谷の周りの霧が凍り始めダイヤモンドダストとなりあたりを煌く。


「『氷塊葬送』の真利谷氷雨。…参ります。」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ガキッ!キキキキキッ…‼︎チンッ!』

 創士と夢坂はお互いに斬り合っていた。


「ははは、良いぞ。まだ上がるのか。この俺が反応しきれなくなってきているぞ。L4『紅蓮の双刃』。」

 大きな大剣を捨て身軽な小刀二刀流に切り替える創士。炎を纏った刀を右手で持つと更に炎が大きくなる。


「そうですか…っと。『雷剣』『雷斧』。」

 夢坂も両手に武器を装備し斬りかかる。


「『カンッ!カカンッ‼︎ガン‼︎』くっ…これは…」

 斬り合っているうちに次第に夢坂が押され始める。


「(あの左手…おそらく…)重さですね、その左手は。材質を細かく変えることで打撃の重さを変えてるんですね。」

 斬り合いから分析した見解を述べる夢坂。左右の斬撃の重さの違いにより翻弄されていたのだった。


「その通りだ。この左手は常に重さを変えることができる。その些細な差が戦いにおいてリズムを崩す。俺が勝つために知恵を絞った結果だ。」

 重さの緩急により意表を突く剣撃を繰り出す。そして右手の武器でとどめをさす。


「だがお前はそれにも耐えている。素晴らしいな。」


「よく言いますね。あんたはまだ本気にすらなってない。…早く鎧を纏えよ。」

 夢坂がタメ口で言う。


「おいおい、先輩に対して…まぁ良い。そうだな、俺も久しぶりだが…良いだろう。見せてやろう完全武装の俺を。刻んでやろうその武力を。」

 そう言い夢坂は胸に手を当て詠唱を始める。その姿は主君に傅く騎士のようであった。そして辺りに光が立ち込める。


「…待たせたな。これが俺の本気だ。」

 全身を武装で包んだ創士の姿がそこにあった。

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