分けられたコンビ
「ふぅ…それじゃあいくか。」
創士が剣を地面にあてる。
『トンッ。…バキバキバキ‼︎』
触れた地面から地割れが発生。更にその亀裂から熱線が噴き出す。
「な⁉︎…なるほど…その右手は炎を付与するんですか。」
「良く分かったな。そうだ、俺の右手は今使用した武器に炎を付与する効果がある。だから…こうなる。」
更に剣を横に薙ぐ創士。炎が斬撃となって2人に襲いかかる。
「『白浪』。炎だったら…私が通しません。」
澪が水の壁を張り創士の斬撃を相殺する。
「いけ!『雷公砲』‼︎。」
そこに雷の砲撃を加える夢坂。しかし…
『パキキ…バキッ!』
氷の壁が多層発生する。それは僅かに傾いており夢坂の雷公砲の軌道を曲げてしまう。
「その威力を正面から受けるのは危ないですからね。曲げさせてもらいました。さて…耐えれますか?。『氷息吹』。」
真利谷が息を吹きかける。それは大きくなり吹雪となって2人に襲いかかる。
「…くっ、この雪…確実にダメージを。自己変化殺しだな。それに視界が。」
「それに…空間が支配されてます。支配権を奪えない。」
2人は雪と氷が吹き荒れる空間に囚われてしまう。雪の1つ1つに魔力が篭っており確実に体力を奪っていく。更に辺りを一面が白に覆われて視界が奪われる。
「…!危ない‼︎『雷斧』。」
『ガキンッ!…キリキリキリ…』
「良く気付いたな。バレないように地面を通ってきたのに。それに速いな。あの位置からここまで…」
吹雪に紛れて澪に奇襲をかけた創士の攻撃を夢坂が防ぐ。
「…L4『水獄』。」
咄嗟に創士を水の檻で捕らえる澪。
「まだいきます。L4『水成槍』。」
更に追い討ちをかけようとする澪。
『カンッ!』
しかしそれは防がれてしまう。水獄が氷で覆われてしまった為である。氷の大きな球が完成する。
「嘘…」
動揺を隠せない澪。澪の魔法が凍らされた。それはつまり魔法の支配権を真利谷に奪われているということであった。
「…俺がやる。貫通に特化。『鬼纏雷』『雷針撃』。」
雷の量を上げ、更に腕を鋭くし、氷の塊に殴りかかる。
『パッ…パチチチッ‼︎…ドゴッォォォ‼︎…』
その衝撃で白い煙が上がる。その煙が晴れた時そこには…
「誰もいない⁉︎どこだ!。」
夢坂が辺りを見渡す。
「…(右、左、後ろ、前、四方にはいない。なら…)ここだぁ‼︎」
夢坂が地面に向かって拳を振り下ろす。拳圧で地面がめくれ上がる。
「…お見事‼︎良く分かったな。だが…関係ないな。」
創士が回転しながら上に飛び上がってくる。当然剣も振り回され夢坂を切り裂く。
「ぐあぁぁぁ…はぁはぁ…くっ『チチチッ…』。」
ダメージを負い一旦距離を取る夢坂。そこに創士が衝撃の発言をする。
「気づかないか?。今の状況に。」
「はぁはぁ…はぁ。…?…⁉︎。」
落ち着きを取り戻し何かに気づいた様子の夢坂。
「…矢沢さんをどこへやった?。」
先程まで隣にいた澪の姿がないのである。
「彼女は真利谷が引き取ってくれている。まぁはっきり言って終わりだろう。単純に相性が悪い。真利谷は氷。矢沢澪は水。子供でもどちらが有利か分かる。真利谷!分けろ!」
創士の言葉に反応するように氷の壁が現れる。
「コンビ戦だが…こういうのも悪くないだろ?。じっくりいこうか。」