七星との邂逅
次回更新は25日です。
星光学園は全寮制の学校である。校内には生徒たちの寮、教師陣の寮、校舎、闘技場、さらにあと7つの建物が存在する。
あの戦闘訓練から1週間が経とうとしていた。
「今日の朝飯は何かな〜。」
重がるんるん気分で食堂にやってくる。剣は寝坊である。
「あ!おはようございます、重さん。剣さんはまた寝坊ですか?。」
「そうなんだよ。せっかくの朝飯を食べないなんてもったいないよね〜。」
「そうですね。朝ごはんは食べるべきだと思います。あ!ところで知ってました?。昨日大事件があったみたいです。」
「?何かあったの?。」
重は昨日の記憶を探るが何も思い出せない。
「昨日七星に変動がありました。第六輝が変わったそうです。しかも新しく第六輝になったのは1年生だそうです。」
それは学園始まって以来のことだった。入学式から一週間での七星入り。
もちろん化け物だ。
「マジで⁉︎俺なんてまず誰が七星かすら知らねーよ。」
これは重が悪い。この学園にいれば自然と知ることができるのだが重は自分の訓練のことしか考えてなかったのだ。
「一応知っといたほうがいいと思いますよ。これは私がまとめた七星の名簿に名前です。重さんにはいつも訓練をしてもらっているので。」
そう言って澪が出した紙を重は見つめる。そこには
第一輝 霧島飛春
第ニ輝 創志貫介
第三輝 真利谷氷雨
第四輝 東堂昴流
第五輝 若草大樹
第六輝 夢坂当夜
第七輝 銀上葵
と7人の名前が書かれていた。
「あれ?あの生徒会長第一輝じゃないんだね。てっきりあの人がトップだと思っていたのに。」
あの人より強い人がいるというだけで震えが止まらない。もちろん武者震いだ。それほどまでに重は昂ぶっていた。
「お!ここにいたのか。」
そんな2人に話しかけてくる人がいた。見た目は優しげな青年だ。
「…⁉︎。ガタッ。…あんた何もんだ?。」
しかし重は即座に立ち上がり警戒の体制をとる。いや、この場合取らされたと言った方がいいのかもしれない。
「いい反応だね。ごめんね試すようなことをして。」
その男から出ていた覇気が消える。どうやら敵意はないようだ。
「な、何があったんですか?。」
澪は2人の間に何があったか気づいてないようだがこの男は重にだけ覇気をぶつけていたのだ。ここでもその実力を垣間見ることができる。
「ふふふ、君たちに話があってきたんだよ。どうやらもう1人の子はいないようだけど昨日の闘技場での訓練を見させてもらったよ。とても面白かった。良ければ放課後にでも話をしないかい?。」
男はそういうとメモを取り出し机の上に置いた。
「興味があればそこにおいでよ。僕はそこの住人だよ。」
その男のメモには信じられないことが書いてあった。
『第五輝邸寮長兼管理人兼住人』
この学園では七星は特別である。それは住居にまで及ぶ。七星は建物1つを使うことができるのだ。その用途は自由。
「あんた…七星か!。」
納得の存在感である。
「さてさて早く朝ごはんを食べなよ。…放課後待ってるよ。若草大樹より。」
そう言って去っていった。
「…ストン。ふーぅ、すごい存在感だったな。あれが七星か。思ってたよりバケモンだわ。」
重が椅子に座りながら感想を述べる。知らぬ間に汗をかいていた。
「あの、それでどうするの?行くの?。」
澪が不安そうな顔で尋ねる。そうなるのも当然だ。突然七星が訪ねてきたのだ。しかもなんの話かわからないのだ。しかし
「当たり前だ。3人で会いに行こう。」
重は当然のように言う。七星と関わりが持てるチャンスを逃すような男ではないのである。かくして七星との初の邂逅は幕を閉じた。
「…やべっ。寝坊した。」
剣が先生に怒られるのは別の話である。
この作品も私が連載している作品です。1話1分程度で読めるのでトイレの時などに是非。
Dストアストーリー
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ドラックストアの店員たちの日常を書いています。