終わって思うこと
「もっとだ!。もっとやれるだろ。俺に全てを見せてみろ‼︎。俺は戦いに飢えている。」
両手を広げ重を迎え入れるように如月が言う。その顔には獰猛さが滲み出していた。
「…L2『火炎』×100。『火拳』‼︎。」
重は火拳を発動。その右手に炎を灯す。
「ほぅ、中々の練度だ。魔力の集中を感じる。だがその燃える手は戦場では致命的だ。乗り越えておくが良い。いや、違うな乗り越えろ。自分の魔法でいちいち損傷していては本物にはなれんぞ。さて、良いだろう、真っ向勝負といこうじゃないか。」
如月が左手を前にかざす。するとそこに一振りの刀が現れる。
「…いきます。この火拳で全てをぶっ叩く。」
如月に忠告された重。しかしそれは百も承知だった。まだ自分の力を扱いきれていないことは明白だった。しかし
今はそれしかないのも事実。重は燃える手を振るうのだった。
「…一の太刀『紙切り』。」
如月が刀を振るう。その瞬間刀から炎が湧き出る。
『…キュィィィィィーン…』
拮抗する拳と刀。
「ここだ!。解放。…×100!。」
左手を如月にかざす重。その手に火炎の炎が現れ放たれようとする。
「な⁉︎…バカが…ニの太刀『噛み切り』。」
爆煙の中如月の声が響く。
「…ぐ、ぐぁぁぁあーー‼︎…。」
煙の中から重が転がり出てくる。右手の火拳は消失し左手には何かが刺さってような穴が空いている。
「悪いな、思わずやっちまった。だが誇れよ、俺にそこまでさせたことを。」
煙が晴れ如月の姿が見える。その両手に刀が握られていた。
「まさか遅延まで使えるとはな。驚いたぜ。だけどまぁもう終わりでいいだろ。満足しただろ。」
刀を消し両手を頭の上で組んで如月が言う。
「………まだ…です。俺はあなたにまだ全部を見せてない!。L2『火炎』×100、L2『火炎』×100。」
両手に火拳を発動し重が立ち上がる。
「バカが…でもな俺はそんなバカが嫌いじゃない。良いだろう、やってやるよ。」
笑みを浮かべながら如月が言う。しかしそんな時間は続かない。
「待ちなさい!。あなた達何をやっているのですか!。」
学園長が戻ってくる。
「え、学園長!。どうしてここに?。」
本来学園長が如月と同行していたことを知らない重が不思議そうな顔をする。両手の炎も消えてしまう。
「ち、もう来たのか。はぁ〜あ、楽しい時間は一瞬だな。」
「まったく…どういうつもりですか?。ここを一歩も動かないかわりに私がお相手をして差し上げると言ったではないですか。」
学園長が憤る。自分が相手をする代わりに如月の行動を制限したはずが帰ってきたら戦闘をしていた。納得がいくはずがない。しかし、
「残念だったな。俺は一歩もここを動いていない。見てみろよ。」
そう言い自分の足元を指差す。そこには片足を軸として半円が描かれていた。
「「な⁉︎。」」
驚きの声を上げる重と学園長。
(本気かよ。まったく動いていない。別に気になることなんてなかったのに。これが…国家魔道士。)
改めて自分が相手をしていた男の強さを思い知る重。
(彼は確か…1年生の中でかなり上位の生徒のはず。その彼を…魔力十分の1でかつ一歩も動かずに。)
学園長も状況を把握し驚愕する。
「だがまぁ…別に良いぞ。無しでいい。その代わり…1度だけこの腕輪を外させろ。」
学園長の方を見ながら如月が言う。
「…すぐにはめ直してもらいます。1度だけですよ。」
そう言い腕輪を外す。
「小僧、今日は楽しかったぞ。…っとそうだな、名前を聞いていなかった。名を名乗れ。」
「八神重です。」
「そうか、八神、楽しませてもらった礼だ。頂点を見せてやる。ふっ、」
如月の手に刀が現れる。
「目ん玉かっぽじって見るがいい。…三の太刀『神斬り』。」
『スンッ………ドゴォォォ…』
如月が刀を振る。その刹那刀から炎の波動が炸裂する。その結果闘技場の外壁が壊れる。
「な⁉︎…闘技場を吹き飛ばした⁉︎(冗談みたいな威力…)これが…国家魔道士。」
「なんてことをしてくれるのですか⁉︎。」
惨劇を見て学園長が怒りをあらわにする。
「まぁまぁそう怒るなよ。俺の口座から引いといてくれていいからよ。」
悪びれずに如月が言う。
「お?なんだもう決勝は終わったみたいだな。それならもう俺は用はないな。帰るか。」
あくまで自由に振る舞う如月。
「な、待ちなさい。帰るまで私が一緒にいきます。これ以上何かをされても困りますし。」
学園長も如月と一緒に闘技場だった物を出ていく。残ったのは重だけだった。
「…遠い…あんなにも強いのか。まだまだ足りないな。もっと鍛錬しないと。」
頂点に触れた重。気持ちを新たに強くなることを誓う。
誠に申し訳ありませんが次回更新はお休みさせていただきます。お読み頂いている皆様には本当に申し訳ないです。
次の更新は2月の10日になります。よろしくお願いします。




