初めての実技 2
重と澪、剣は3人で誰も使っていない闘技場にやってきた。
「さてそれじゃあやろうか。」
滅多に戦えない自己変化型との戦闘を前に気が流行る重。
「はい、それでは…いかせていただきます。『体水化』。」
澪が言霊を発する。それは自己変化の発動を意味する言葉。しかし水なのでどこが変化したかは一見してわからない。
「L3『時雨玉』」
澪の伸ばした両手から高速回転させた水を飛ばす。
「…とっと。いきなりやってくれるね。」
躱す重。外れた時雨玉は地面を抉り取っていた。込められた魔力の量を物語っている。
「まだです。L4『時雨弾』。」
先ほどの時雨玉より大きな水球が重に襲いかかる。重はまだ体制を崩していた。
「これは…避けれないな。俺もいくよ。L2『火炎』×100。」
反撃に撃って出る重。火炎をぶつけて時雨弾と相殺させる。するとその衝撃で水蒸気の煙が発生する。
「…………。」
何かを考えている様子の澪。
「こないならこっちからいかせてもらうよ。戦いでは攻め時を逃した方が負けるんだ。L2『火炎』×100。」
重が魔法を放つ。火炎が大波のように澪に襲いかかる。
「…ッゥ。L3『水壁』。」
水の壁を貼り重の魔法をやり過ごす澪。しかし相殺の結果でた煙が晴れた時重はそこにいなかった。
「これで俺の勝ちだね。」
澪の後ろに回った重が言う。重は火炎を放った段階で先を読み澪の死角に入ることを狙っていたのだ。重が澪の首に一撃を入れ終わらせようとする。が、
「ん⁉︎ゴボッゴボボッ…」
突如として動けなくなる重。さらには息もできない。それはまるで…
「やっと私の空間に入ってきてくれましたね。信じてました。重さんなら水蒸気を利用して近づいてくると。だから私は空気中の水分を集めて待ち構えていたんです。」
水の檻に囚われた重。焦れば焦るほど酸素がなくなっていく。
(…落ち着け俺。こうなったのはどうしてだ。俺が澪ちゃんを甘く見たからだ。彼女だって俺と同じ国家魔道士を目指してるんだ。…)
「さぁギブアップしてください。」
重にリタイアを勧める澪。
「…L2『火炎』×100。」
重が魔法を放つが水の空間に吸収され通らない。
「無駄です。この空間は私の領域。何もさせません。」
「(俺が侮っていたよ。俺もある程度のダメージは覚悟する。)L2『火炎』×10000。…爆ぜろ。」
途端重を中心に衝撃が走る。そして全てが終わった。
「…ん…?。はっ!。わ、私。」
気を失っていた澪が目を覚ます。
「目を覚ましたか。あんたはこいつの半自爆に巻き込まれたんだよ。重があんたの空間ごと破壊したからな。んで気絶した。つまりあんたは実戦だったら死んでたってことだ。」
剣が冷静に事実を告げる。一見冷たいように感じるがこれは剣なりの忠告だった。
「そうですか。私があの時重さんにさらに追い討ちをかけていれば。私もまだまだですね。」
剣の言葉をしっかり理解し反省する澪。
「それでもあの戦法は効いたよ。呼吸と動きを制限されちゃうからね。あとは経験を積んでいこうよ。」
手を差し出す重。
「はい。これからもお願いします。」
澪はその手を掴んだのだった。
「ん、時間か。帰るぞ。」
こうして初めての実技を終えたのだった。
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重たちは気づいていなかったがこの訓練を覗いているものがいた。
???「へぇ今年の1年生には面白い子がたくさんいるんだね。誰か友達になってほしいな。」
そう言って去っていった。