剣のパートナー登場
更新頻度について報告がありますので後書きをお読みください。
「それでは準決勝を始めようと思いますが…17番ペア相変わらず1人ですか?。」
審判を務める教師が剣の方を見ながら言う。その隣には誰もいない。
「いや〜ちょっと待ってくれ。くるはずなんだが…」
「お!いたいた。こんなところにいたのかい剣君。探したよ。」
大柄な女の子が頭を掻きながら現れる。その服には少し土がついている。
「!。こんなところにいたのかい?じゃねーだろ。俺がお前をどんだけ探したと思ってんだ。どこに居たんだ。」
剣がその女の子に向かって叫ぶ。今まで懸命に探してきた人が突然悪びれずに現れたので仕方ないと言えるだろう。
「ん?ちょっと遅刻しちゃって急いでたんだけど猫が前を通り過ぎたからついて行って、それからそこで寝ちゃったんだよね。」
悪びれずに言う女。その奔放さはある男を彷彿とさせる。
「(くっ…。落ち着け。こんな奴だって分かってたはずだ。それでも…こいつと組んだのは俺だ。)…ふーぅ。まぁ話は後だ。とりあえず今までの分も働いてもらうぞ。」
気をとりなおし言う剣。
「そうだね。いっぱーい寝たしやる気充分だよ。」
首を回しながら舞台に上がってくる女。
「…重君。気をつけたほうが良い。彼女はあんなだけどかなり厄介だ。」
草薙が重に注意を促す。
「そうだろうね。剣がパートナーに選んだくらいだ。何かあるはず。」
精一杯の警戒を示す重。自分たちの戦いは見られていたが彼女については何も知らない。
「それでは…17番火祭・若草ペア53番八神・草薙ペアによる準決勝を始めます。ちなみにこの戦いの勝者は決勝に進みますが決勝は明日ですので全力を出してください。」
教師が告げる。
(ん?…若草?ん?)
聞き覚えのある名前が聞こえた気がする重。
「あのさーひょっとしてその子大樹さんの…」
「そうだよ。私は若草大樹の妹、若草花凛。そう言えば君もお兄のところにいるんだったね。よろしくね。君とも仲よーくなりたいな。」
朗らかに告げる花凛。その笑顔はとても人懐っこい。
(大樹さんの妹?。そう言われれば少し似てる。笑った時の感じとか。大樹さんより…その…ちょっと頭が緩そうだけど。笑顔は可愛いな。)
一気に頭が混乱する重。若草からそんな話は聞いたことがなかった。
「重君。花凛はあんな感じだから二つ名を貰えてないけど…若草先輩の妹だよ、侮らないで。あと鼻の下も伸ばさないで。」
少しデレっとした重を咎めて叱責する草薙。
「う、うんごめん。そうだね。」
「さてと…そろそろ始めるか。L4『風斬の大剣』。」
剣が錬成し2人に近づく。
「L4『鋼籠手』。私が前に出るよ。」
両手を籠手で覆い草薙が前に出る。
「「…………」」
剣と草薙が睨み合う。
『ガキンッ!ギギギ……カン。』
斬りつける剣。受け止める草薙。
「下がって。L2『蛍火』×100。」
剣に向かって魔法を放つ重。同時に花凛がどうするのか様子を見ていた。
「おーすっごいねー。」
素直に感心する花凛。何かをする様子はない。
「L4『華炎陣』。」
炎の展開し蛍火を防ぐ剣。
(あの子は…何もしないのか?。)
てっきり剣のフォローに回ると思っていたがそんな様子はなかった。
「なら…いまのうちに叩くのみ。『火拳』。」
重は右手に炎を灯し剣に襲いかかる。
「ちっ、L4『業火剣』。」
もう一つ剣を錬成し迎撃しようとする剣。しかし二人掛かりの攻撃で遂にダメージを負ってしまう。
「くっ、そろそろ良いだろ!。」
下がり花凛に言う剣。
「ん!オッケー。もう出来たよ。いや〜疲れた。」
手で顔を仰ぎながら言う花凛。
「何をしたんだ?。」
疑問に思う重。
「それは自分で味わって欲しいな。」
どこか戯けた調子で言う花凛。そこも若草に似ていた。
「!危ない重君。伏せて。」
その声に反応し伏せる重。寸前まで頭があった位置を燃え盛る剣が横薙ぎに通り過ぎる。
「な⁉︎これは…剣の…。でも剣はそこに。」
先ほどまで剣がいた場所を見る重。そこには剣の姿はなかった。
「重!こっからは本気でいかせてもらうぞ。」
そんな剣の声が響く。姿は見えないままだった。
日頃この作品をお読みいただきありがとうございます。
更新頻度についてですが今までは大体2、3日に一回更新としていましたが今後は毎週月曜日、木曜日、土曜日の三回更新したいと思います。偶に更新できないこともあるかもしれませんがこれからもどうぞよろしくお願いします。