重と草薙
「それでは今から53番八神・草薙ペア対25番木谷・香藤ペアの対決を行います。」
審判の先生から開始が告げられる。
「まさか…二つ名持ち同士のコンビと当たるなんてね。ついてないわね。でも諦めないわよ。」
対戦相手の髪の長い女の子木谷が言う。
「そうよ。お似合いだからって負けないんだから。」
更に髪の短い香藤が付け足す。
(お、お似合い…。ダメダメ、しっかり集中しないと。重君には迷惑をかけれない。)
意図せず乱される草薙の心。
「よし、茜ちゃん。僕たちのコンビネーションを見せてあげよう。」
コンビを組んでから重は草薙のことを下の名前で呼んでいた。
(う〜まだ慣れないよ。ムズムズする。そ、それに僕たちのコンビネーション?…興奮が抑えられない。)
味方からも思わぬ攻撃を受ける草薙。
「いくわよ。L2『蛍火』。」
木谷が魔法を放つ。
「L2『蛍火』×10。茜ちゃん。」
相手の魔法を相殺。更に数発の蛍火が木谷に向かう。
「…木谷伏せて。L3『風切』。」
右手から出した風を蛍火に当て爆発させる香藤。
「う、うん。L4『斬大地』。」
伏せた木谷に向け斬大地を放つ。地面からの槍が襲いかかる。
「ちょ、L3『火発』。」
本来敵に向けて撃つ魔法を撃ちその反動で回避する木谷。
「一旦立て直すよ。。L4『風切舞』。」
鋭い風が乱れ飛ぶ。
「重君。こっちに。L3『土門』。」
壁を張りやり過ごす重と草薙。
「ありがとう香藤ちゃん。助かったよ。」
香藤の隣に並びながら木谷が言う。
「L2『蛍火』×100。」
重達がいる壁の向こうから蛍火が大量に放たれる。
「なんて量なの。…L3『火発』。」
「本当にね。L3『風切』。」
2人は魔法を放ち蛍火を迎撃する。
「L2『火炎』×100。」
更に攻撃してくる重達。
「あーーもうじれったいわね。L4『発火砲』。前に出るわよ。」
「そうね。このままじゃ埒があかないし。L3『風刃』。」
2人で前に出ようとする。だが…
「…ちょっとー、何よこれ。」
「…やられたわね。そういえばさっきから攻撃してたの彼だけだったわ。」
2人の周囲の壁が高くなった。正確には2人のいる場所の地面がめり込んでいた。深さは2メートルはあるだろう。
「L2『火炎』×100、を右手に。そうだなそろそろ名前をつけた方がいいよね。『火拳』。」
拳を燃やしながら重が言う。草薙の魔法によって沈められた2人に逃げ場はない。
「…まだだよ。L4『風の封鎖』。」
「そうね。防いでみせるわ。L4『防火甲』。」
2人とも手を上に掲げ防御のための魔法を発動しようとする。
「はぁぁぁぁぁぁー、…なんてね。今だよ。茜ちゃん。」
重はその手の魔法を消す。
「L4『斬大地』。」
「…ぐっ、くぅー。…やられたよ。」
「そのようですね。見事なコンビネーションでした。」
上に魔法を発動しようとしていた2人は下からの攻撃に対して何もできず貫かれた。すぐさま魔力が肩代わりする。
「勝者53番ペア。」
勝利を告げる声が響いた。
「いや〜負けちゃったね。まさかあのパンチを囮に使ってくるなんてね。」
「そうですね。2人の洗練されたコンビネーションにしてやられてしまいました。やはりお似合いですね。」
気絶せずにすんだ2人が重と草薙を讃える。
「ありがとう。(洗練された…コンビネーション…。)」
顔を赤くする草薙。
「どっちが攻めてもいけるからね。茜ちゃんと組めてよかったよ。」
どちらが前に出るとかではなく2人がお互いにサポートするスタイル。それが重達のスタイルだった。
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「勝ったんだな、重。」
剣が戦い終わった重達
「あれ?剣見てなかったのかよ。」
「あ、あぁちょっと探し物(者)がな。」
まだパートナーがどこにいるか掴めていない剣。その顔には焦りが見えている。
(知っているんだぞ火祭剣。あなたがパートナーに選んだのはあの子だということを。あの子は確かに強いけど…性格に問題がありすぎる。そのまま1人で戦って脱落しちゃえ。)
剣の方を睨みながら念じる草薙。
「そうなんだ。まぁいいや。準決勝で戦うことになるし。見てなかったことを後悔するなよ。」
「おぉ、(流石にこいつらとやるときはあいつがいねーとな。)。」
「…澪ちゃんは?。」
草薙額いつも一緒にいる澪の場所を尋ねる。
「ん?多分会場が別なんだよ。俺は今からここでだしお前らもここでだぞ。てかあの2人は大丈夫だろ。決勝までくるだろ。」
剣が答える。
「そうなんだ。まぁ2人と決勝で当たるのは私達だけど。」
「そうだね茜ちゃん。決勝行くのは俺たちだよね。」
「いや、俺…俺たちだ。」
どちらが勝ち上がるのか。
次回更新は1月8日になります。