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それぞれが思うこと

「う…う…ん。…ここは…。」

 澪が目を覚ました。保健室には重、剣、草薙、夢坂と1年生5人が揃っていた。


「あ、目を覚ましたね。お疲れ澪ちゃん。」

 重が声をかける。


「あ、はいお疲れ様です。…私また…負けちゃったんですね。はじめから…帝になっていれば…勝てたかもしれない。」

 重に返した後自分が保健室にいる状況を理解し顔を下に向ける。


「…1勝4敗。それが俺たちの戦績だ。負けたのは君だけじゃない。」

 夢坂が悔しそうに言う。自分なら勝てるまではいかなくてもいいところまでいけると思っていた。しかしそれは思い上がりで霧島にとって自分は本気を出すか出さないかのボーダーラインに立っているだけだったのだ。


「…1年の経験の差はでかい。この学園で1年切磋琢磨してそして勝ち抜いてきた人たちだ。」

 草薙が言う。自分は同じ属性、同じ戦闘スタイルの相手に手も足も出ず完敗した。そこには歴然たる経験の差が存在していた。


「今回は遅れをとったが…やって良かったと思ってる。次の可能性を見れた気がする。」

 若草との戦いで錬成した刀。あれにはまだまだ可能性があると確信している。それと同時にまだ自分では扱いきれないということも。


「そうだね。この学園は強い人が多いよ。…そのぶん強くなれると思う。」

 重が言う。自分も一歩どころか半歩間違えば負けていた。自惚れるつもりなどない。


「まぁ、これからの精進次第じゃ勝てる可能性はあると思う。相性もあるし。だけど…そうだな、霧島さんに手を出すのはやめておいた方がいい。これは善意での忠告だ。あの人は…学生のレベルじゃない。同じ七星の俺ですら…多分…あの人は本気ではなかった。」

 夢坂が4人に告げる。


「…だがいつかは倒す。あの人が卒業してしまうまでだ。」

 霧島は2年。チャンスは2年ある。


「それは俺たちもだよ。俺たちみんなトップになりたいんだ。」

 重が言う。ここにいるものはみんな頂を目指している。


「誰が早く駆け上がるか勝負だな。今の所俺が一歩リードだけど。」

 夢坂が言う。七星に入っている夢坂は同じ七星相手でも戦いを申し込みやすく断られにくい。実際に大きなアドバンテージを得ていた。


「すぐに追いついてやるよ。なんだったらお前から七星の座を奪ってやる。」

 剣が好戦的に言う。


「…楽しみにしてるよ。」

 夢坂はそう言うと保健室を出て行った。


「…それじゃあ私ももう行く。今日はお疲れ。」

 草薙が最後にチラッと重の方を見て出て行った。


「俺たちも帰るか。…澪ちゃんもう歩ける?。」

 重が澪を気遣う。


「はい、もう大丈夫です。」

 そう言い澪が立ち上がる。そして3人で寮に帰った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「みんな今日はどうだった?。」

 若草が4人に尋ねる。


「おぅ、俺の相手の…なんだっけ?名前は忘れたけど雷のやつ。あいつは面白かったぜ。あいつとならまたやってもいいな。」

 霧島が嬉しそうに言う。その顔はおもちゃを見つけた子供のようである。


「私の相手の…八神くんだっけ。あの子の魔法変わってるわね。それに…魔力の多さも。負けちゃったわ。計算違い。でも次はないわよ。」

 重に負けた水野。しかし既に対策はできており次に戦う時は同じ負け方はしない。


「ん、なかなか良かった。でも…足りない。経験が。私たちも1年生のときそうだった。…あ!そうだ。大樹くん。創志会長が怒ってたよ。自分のとこに優秀なのを集めるなって。おかげで今年1年生の生徒会メンバー1人だし。上位5人に入ってないし。」

 並木が若草の方を見ながら言う。後半はただの伝言である。


「そうやで若草〜。会長怒っとたで。そんで副会長は相変わらず綺麗やったわ。あの冷たい感じがたまらんわ。…ちょ、並木と水野そんな目で見んといて。えーと感想やな。そやな、若草に聞いとった通りやな。自分に自信がない。今日も最後の方まで帝にならんかったしな。初めからなっとったらええ勝負やったやろな。冷静やしよう周りが見えてるわ。」

 女性陣の冷たい目に晒されながら風待が言う。因みに並木と風待は生徒会所属で創志の寮に一緒に住んでいる。


「僕の相手の剣くん。彼は少し熱くなるところがあるがそれを差し引いても才能があると思ったね。特に最後に使った魔法は僕では受けきれなかっただろうしね。」

 若草が自分が戦った剣の感想を言う。


「へ〜若草お前が受けきれないか。面白いな。俺も受けてみたいな。俺のアレとどっちが上かな。」

 若草の言葉に反応する霧島。


「そう遠くない時にまたやる時が来ると思うよ。彼らは強くなるよ。でもまぁそうだね。僕らも負けられない。先輩としてね。」

 若草のその言葉で2年の集会は終了した。


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