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それぞれの戦い 剣 夢坂

 SIDE剣


「…くっそ〜。ちゃんと戦えよ。」

 剣が若草に向かって吠える。


「僕はちゃんと戦っているよ。今日は本気で勝ちにいってるからね。」


「…チッ、L4『風斬りの大剣』。いくぜ。」

 剣が若草に向かって駆け出す。しかし、


「うわぁ。…くそまたかよ!。」

 踏み出した足元が崩れ足が足首まで埋まる。


「どうしたんだい?。来るんじゃなかったのかい?。」

 剣を煽るように若草が笑みを浮かべる。


「ん!…(落ち着け。これがあの人の作戦だ。冷静さをなくせば終わりだ。)L4『大震脚』。」

 剣が地面を震わせる。それによって地面がところどころ陥没する。


「おや?冷静になったみたいだね。せっかく開けた穴が無駄になっちゃったよ。L3『大豪炎』。」

 指先から熱線が放たれる。以前澪の水獄を突き破った高出力版である。


「L4『土門』。」

 壁を張り防ぐ剣。しかし長くは持たない。土門は横に真っ二つになってしまう。


「…ん?。」

 そこに剣はいなかった。


「L4『焦気の大剣』。」

 二刀流で若草に迫る剣。しかし若草の足元から土門が発生し防ぐ。


「わかってたよ。あんたには届かないって。だから…無理やりいかせてもらう。合成、うぉぉぉぉお。」

 無理やり2つの大剣を燃やし重ねる剣。そこには一振りの刀があった。


「まさか…L4同士の合成で形を無くさず留めるとはね。これは…L4『鉄鋼盾』L4『甲鉄盾』。」

 2つの盾を錬成し剣の攻撃に備える若草。


「…先輩、うまく避けてくれよ。多分ガチでやばいから!。」

 剣が刀を振るう。


「!…これは…。」

 錬成した盾を放り投げ回避する若草。今錬成した盾では防ぎきれないことを悟ったのだ。実際斬撃の軌道上は地面まで融解してしまっている。


「…くぅ…これはかなり…きついな。」

 剣が苦痛に顔を歪める。刀は完全に制御できておらず剣の右手を燃やしながら存在している。


(あの魔法。おそらく制御はできていない。それでこの切れ味。末恐ろしいよ。だけど)

「君がそれだけのリスクを負って勝ちに来てくれたことは嬉しいよ。だから僕の本気を見せてあげるよ。」

 途端剣の足元から土の槍が発生。


「…ちっ。遅延か。わかってても…」

 空中に飛び薙ぎ払う剣。しかし既に若草の次の手は打たれていた。


「これは…」

 四方向と上を土の壁で覆われる剣。さらそこに火の玉が撃ち込まれる。


「蒸し焼きにするつもりか?だがこれぐらいなら…斬れる!。」

 刀で壁を斬り刻む。周囲は霧で覆われていた。辺りを見渡す剣。


「…そこか。これで終わりだ。」

 剣が若草に斬りかかる。


「ザシュッ……ボロっ。」

 斬りかかったものそれは土の人形だった。


「な⁉︎。どこに…L4『風刃』。」

 風の刃を飛ばし霧を無くす。


「いない?。…⁉︎。」

 土の中から現れた鎖に足首を拘束される剣。さらに上空から風の槍が降り注ぐ。


「…動けなくても…」

 刀で薙ぎ払おうとする剣。しかし、


「これで終わりだよ。L4『風槍』。」

 後ろに現れた若草に貫かれる。それによって上空の槍からも貫かれ遂に刀を維持することもできなくなる。


「い、いつの間に…。」


「さっき君が切った人形の下だよ。魔法で潜っていたんだ。」


「…初めからあんたの考え通りに…動いちまったのか。…くそ…が。」

 そのまま気絶する剣。致命傷を魔力消費で代行したため魔力切れになったのだった。


「ふぅ。…さっきの一撃、僕が潜っていたところまで届きかけていたね。徐々に強くなっていたのかな。」

 もし斬撃が届いていたらこの結果はどうなっていたかわからない。そのことに武者震いを感じる。


「おいおい相変わらずやな。エグいことすんで。」

 澪を保健室に運び終えた風待は若草の戦いを見ていた。


「それにしても…読み通りか。さすがは超絶技巧や。」

 重達は若草の遅延魔法の扱いや魔力のコントロールが超絶技巧と呼ばれる原因と思っている。しかしそれは違う。若草がこの二つ名を得た時彼は遅延魔法を使っていなかった。


「戦いの場を支配し、さながら詰め将棋のように相手を追い詰める。その先読み能力。怖いわ〜。」

 相手の行動や技を見切り掌の上で転がす。その才気煥発ぶりにつけられた二つ名だった。


「それだと僕の性格が悪いみたいじゃないか。それにこれが僕のスタイルだしね。今更変えられないよ。」

 若草が苦笑いしながら言う。


「それにしても、風待くんがここにいるってことは澪ちゃんに勝ったんだね。」


「まあな。最後はかなり冷やっとしたけどな。まぁ…強なるんとちゃう?。あと水野が負けて並木は勝ったらしいわ。…俺ちょっとした体動かしてくるわ。」

 そう言い走っていく風待。


「それじゃあ僕は剣くんを保健室に送っていってそのまま2人が起きるまで診てようかな。」

 こうして2人は別れた。


(霧島くんのところがまだ決着がついていないのか。)



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 SIDE夢坂


「…ぐっ…くそ…まだだ。」

 既にふらふらの夢坂。雷化を維持することができない。


「雷の自己変化は初めてやったぜ。楽しかった〜。だけどもう終わりみたいだな。お前はよくやったよ。俺に攻撃を当てダメージを与えたんだからな。久しぶりに本気になっちまった。」


「…あんたの魔法は…いや…いい。今度やった時に勝って聞き出してやる。」

 何かを尋ねようとしてやめる夢坂。


「そうだな〜お前ならもう一度戦ってやってもいいぞ。今より強くなってからだけどな。今のままじゃまだ届かない。俺に戦いを実感させてくれ。」

 そう言い霧島は立ち去ったのだった。


(クソ…何が七星だ。同じ七星でここまでの力の差があるのか。)

 倒れ地面を叩きながら悔しがる夢坂。もっと善戦できると思っていた。しかしその差は明らかだった。


「もっと…強くなる。次は勝つ。」

 そう自分に誓うのだった。






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