重対水野
「まぁここでいいでしょ。改めて私の名前は水野舞美。今日はあなたの相手をさせてもらうわ。」
「はい、お願いします。」
「あなたも若草君のところの子よね。凄いわよね。上位5人中3人が同じところにいるなんて。」
「まずはっきり言っとくわ。あなたはあの5人の中で4番目だと思われています。私も4番目だから。そして…私は若草君に振られているから若草君のところにいるあなたのことを妬ましく思っています。だから…加減はできません。『体水化』。」
水野が体を変化させる。
「そうですか。(あの5人の中で4番目…仕方ないか。剣は万能だし澪ちゃんは帝になれるようになってるからな。)じゃあ今日はその番付を覆せるように頑張りますよ。L2『蛍火』×100。」
誘導機能付の魔法で先制を仕掛ける重。
「あら、噂には聞いていたけど…物騒な魔法ね。凄い数。躱すのは大変だわ。L3『水陣壁』。」
躱さずに受ける水野。
「…威力自体が上がるわけではないようね。ただ数が増えただけ。L3『時雨弾』。」
お返しとばかりに攻撃を放つ水野。その目は冷静に重を見つめていた。
「L2『火炎』×10。L2『火炎』×100を右手に。」
火炎×100の炎が右手に集約する。
「いきます。」
重が前に出る。
「L2『篝火』×10。L2『火炎』×10。」
水野によりながら陽動をかける重。
「L3『水陣壁』…。(防御を張ったのはいいけど…何をしてくるのかしら?。)。」
篝火の影響で見えない中水陣壁を発動する水野。
「壁が消されたわね。」
音で水陣壁が打ち消されたことを知る。
「もらっっったぁー。」
右手を振り下ろす重。火炎×100の炎が炸裂する。だが…
「……っ捕まえた。…かなり持っていかれたわね。」
重の攻撃を食らいながら水野は立っていた。そして重の足には水の鎖が巻きついていく。
「自己変化型を甘く見たわね。受ける覚悟を決めれば…体の周りに常に高純度の魔力を通わせた水で覆って守れるのよ。肉を切らせて骨を断つってやつね。L4『水獄』。」
重が水に囚われる。
「相性も良かったわ。大体半減してくれたから。L4『多水槍』。ここで終わらせるわ。」
更に水の槍が重を貫く。
(まずい、この人は…強い。)
「まだよ。あなたはこの程度ではないはず。L4『天海』。」
澪との戦いで使った必殺の魔法を唱える。今回溜める魔法は…
「あなたは出さない。このまま終わらせるわ。」
天海に手をかざすと水獄の外に更に水の膜ができる。
(本気でやばい。このままだと物理的に息が…。)
「L2『火炎』×100。」
爆発で脱出を試みる重。その炎は確かに水獄を破った。ただし1枚。
「水獄を中から破るだけでしかも火で破るだけで結構驚きなのだけど…でも出さない。」
もう一度手をかざすと水獄が張られる。
「あら?。あなた…凄い魔力ね。水獄の分を差し引いても大きくなったわ。」
天海の能力、魔力の再利用で回収した魔力が多く驚く水野。
「でもそれはここでは意味ないの。そのまま大人しくしてなさい。」
(…あれは…賭けるか?。失敗したら終わりだが。)
「L2『火炎』×100。L2『蛍火』×100。」
魔法を連発する重。
「あらあらヤケになったのかしら?。でも残念ね。そのスピードでは間に合わないわよ。あなたは詠唱あり、私は手をかざすだけだもの。」
天海に手をかざし随時水獄を張っていく水野。
「L2『火炎』×100。………くっ。」
重の詠唱が切れる。
「残念ね。息の方が先に切れたみたいね。」
水野が天海から手を離す。しかし、
「…今だ…遅延魔法解放。」
重の遅延魔法が発動する。
「まさか。それは若草君の。…くっ、」
天海に手を伸ばす水野。どちらが速いのか。
「……残念だったわね。私の勝ちみたいね。」
水獄を張り直した水野。その顔は勝利を確信していた。
(ダメだったか?。…いや、いけてるはずだ。)
しかし重の目は水野ではなく天海を見ていた。
「…最後だ…L2『篝火』×100。」
ここにきて敵の目をくらませる魔法を使う重。
「ふん、最後にそんなことをしてどうなるっていうの?。」
重の行動に疑問を抱く水野。
「…L2『火炎』×100。」
重の声が響く。
「無駄よ。この天海で…。」
固まる水野。そこには天海の姿はなかった。
「ゲホッゲホッ。ふぅ、賭けにでて良かった。L2『火炎』×100を右手に。」
水獄から出た重は即座に水野に攻撃を仕掛ける。
「…駄目ね。もう魔力が…。」
先ほど重の拳を受けた際に魔力を大量に消費したのでもう耐えられない。回避も間に合わない。
「ピタッ。…俺の勝ちでいいですよね。」
拳を止める重。水野に魔法仕様の様子がなかったので止めたのだった。
「ええ、あなたの勝ちよ。…教えてくれる?どうやって天海を?。」
澪との戦いでは魔法そのものの支配権を奪われたが今回はそれはない。
「正直賭けだったんですけど…1回目の時に先輩の魔法が大きくなってるのが見えたんです。それで…どこまで溜とけるんだろうって思って。」
「成る程ね。それで私の魔法が容量オーバーして崩壊したわけね。…若草君のところにいる子は破天荒なことをしてくるわね。だから…勝てないのかしら。」
「何はともあれあなたの勝ちよ。今日はありがとう。いい経験になったわ。このあとはもう帰っていいわよ。今日は終わり。」
そう言い水野は去って行った。
「…勝てた。ギリギリだけど。もしあの魔法がもう一撃貯めれたら…間に合わなかった。もっと追撃されてたら?そもそも魔法を打たれ続けたら容量オーバーも狙えなかった。…次はこの手は使えない。…この学園は強い人が多いな〜。」
重は疲労からその場に倒れこむ。
「みんなはどうだったんだろう?。」
次回更新は12月20日になります。
よろしくお願いします。