才能の壁を知った日
後書きにて報告があります。必ずお読みください。
「今日は魔力の測定日だ。」
男の声が響く。
「やったー。楽しみだったんだー。」
そこにさらに男の子の声がする。
「ねぇねぇ剣君。どっちがいい結果出るかしょうぶしようよ。」
先ほど楽しみだと言った少年が隣にいるもう1人の少年に話しかける。
「いいけど俺の方が良くても泣くなよ重。」
勝気な印象を受けるもう1人の少年。彼がある玉の上に手をかざす。その玉は体内の魔力を測定し将来的な可能性を表してくれる玉。上から紫、赤、緑、黄、青、黒の順で良いとされる。この国では6歳の時に測定する。
「こ、これは…。」
係の男の前には赤く染まった玉。
「これは素晴らしい。将来的にレベル5相当の魔法を使えるようになるでしょう。もちろん鍛錬を怠らなければですがね。」
男が少年を褒める。
「やったぜ。どうだ重。これは俺の勝ちじゃないか?。俺が国家魔導師になる。」
手をかざしていた少年がもう1人の少年に対してドヤ顔をする。
「ずるいよ剣君。よーし僕だって…」
そう意気込んで手をかざす少年。その玉の色は…
「…黄色。ね、ねぇおじさん。これはどうなんですか?。」
少年は係の男に問いかける。その声が震えていることからあまり良くないことはわかっているようである。
「これはレベル3相当の才能ということだ。残念だが隣の坊ちゃんと何か競い合うのはやめといた方がいい。持ってるものが違いすぎる。レベル3でも頑張れば普通の魔導師にならなれるさ。」
係の男が慰めるように少年に言葉をかける。いくら子供の時とはいえ2つもレベルが違うとなると同じところを目指すわけにはいかないだろうという配慮であった。
「…僕は諦めません。絶対に。」
少年はそう言い走っていった。
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「ん…う、夢か…。」
懐かしい夢を見た。自分が子供の時の夢。初めて才能の壁を知った日。
「…もう朝か。たまには朝ごはんの手伝いでもするか。」
そう言い重はベットから飛び起きる。そこで重さは驚きの光景を目にする。
「な、なんで⁉︎。」
そこにいたのは…
「俺が起きてたら悪いのかよ。」
寝坊魔神の剣の姿だった。
「たまにははやく起きることだってあんだよ。」
嘘である。前の日に澪に頼んで起こしてもらったのだ。今日遅刻すれば鬼のような課題が出されることになっていたからだ。
「今日は不思議なことが朝からたくさんあるもんだな。」
重が言う。
「不思議なことってなんですか?。」
澪が重に味噌汁を出しながら尋ねる。
「ありがとう。ん〜美味しい。不思議なことっていうのはまずこいつがいること。それと今日の夢のことかな。」
「夢ですか?。」
「そう夢。子供の頃の夢だよ。魔力測定の日のことを夢で見たんだ。」
重が夢の内容について説明する。
「あ〜、あの日のことか。懐かしいな。お前玉が黄色になった瞬間めっちゃ悲しそうな顔してたよな。」
剣が昔を思い出し笑う。
「うるさいな。」
「ちょっと待ってくれるかい重君。黄色って言ったかな?。黄色は確か…レベル3相当だったはずだけど?。」
若草が重に尋ねる。
「ん〜そうなんですよね。俺はレベル3まで使えるはずだったんです。…この話はまた今度でいいですか?。」
重が言いにくそうにする。
「あぁ別に言いにくければ答えなくていいよ。誰にでも言いたくないことはあるしね。」
重の態度から訳ありと判断した若草が止める。
「別に言いたくないってことじゃないですけど…。またタイミング見て話しますよ。」
重がご飯を食べながら言う。
「プハー。久しぶりに飲む朝の味噌汁は体に染み渡るな。」
剣が味噌汁を飲みながら感想を言う。ちなみに剣はなぜ重がレベル2までしか使えないか知っている。
「それは良かった。僕が自分で作った味噌だからね。お代わりどうぞ。」
若草が得意そうにする。こうして朝の時間は過ぎていった。
「学校間に合ったけどシンプルに課題やってなかったわ。」
剣は結局課題を出された。
いつも読んでいただいている皆様へ報告があります。
この度1話から6話までの改稿及び設定の変更をさせていただきます。書いているうちにアイデアが浮かび改稿することが最善と判断しました。そのため次回更新はお休みさせていただきます。
最新話は12月14日に更新させていただきます。また、1話から6話までの改稿は12月12日に一斉にさせていただきます。
これからもよろしくお願いします。
もし暇だなと思った方は私が書いているもう1つの作品『Dストアストーリー』を読んでいただければと思います。