草薙戦振り返り
「ちくしょーあの野郎…結局夜までかかっちまったじゃねーか。」
寮のリビングで剣が愚痴っている。先生に捕まった後課題をやらされ解放されたのは夜の7時を過ぎた頃だった。
「それは剣が悪いだろ。本来みんなやってるやつなんだしさ。」
重が苦笑いしながら言う。今日剣がやった課題は宿題として出されたもので剣がやらずに逃げ続けていたものだった。
「…剣さん。これからは私が剣さんの宿題をみます。なのでしっかりやっていきましょう。」
澪が宿題のサポートを買ってでる。
「あ、ありがとう。…それで?俺の代わりにやったんだろ?どうだった?。」
澪の言葉に宿題をやることになってしまった悲しみを見せつつ重に尋ねる。
「うん。強かったよ。多分魔法のコントロールをやる前だったら負けてたと思う。次はどうなるかわからないな。」
重が感想を述べる。実際遅延魔法がなければ草薙の防御の隙をつくことはできなかっただろう。とそこへ…
「重君、東堂さんから聞いたよ。遅延魔法使えたんだって?。」
若草が笑みを浮かべてやってきた。
「さっき猫に餌をやりに行ってく時に会ってね。草薙さんとのことを聞かせてもらったんだ。」
この男毎日夕方になると猫に餌付けをしているのである。
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「さてさて今日は何匹いるかな〜?。」
若草が猫にあげるための餌を持って歩いている。
「来たな。若草。」
そこには東堂がいた。
「東堂さん。どうしたんですか。こんなところで。」
若草が尋ねるがこんな何もないところで会う時点で自分に用があることはわかっている。
「君の後輩について少しね。遅延魔法を…いや、魔力のコントロールを教えているんだな。」
東堂は先ほどのことを思い出し尋ねる。
「そうですけど…何でそれを?。」
「先ほどまで君のところの八神君と草薙さんが戦っていたんだよ。そこで八神君は切り札として遅延魔法を使っていたよ。」
「ふふ、そうですか。もう使えるようになったんですね。」
若草が嬉しそうに微笑む。
「お前少し変わったな。まぁ別に悪いことじゃないか。悪かったな。時間を取らせて。」
そう言い草薙は去っていった。
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「使ったっていっても一個だけですからね。しかも時間はめっちゃ短いですし。」
重が現状について説明する。とてもじゃないが若草のようにはいかない。
「君は自分と遅延魔法の相性の良さに気づいてないようだね。確かに今はまだ貯めとける魔法はひとつかもしれない。それでも君の場合は多重魔法で倍率がかかるんだよ。」
実際草薙との戦いで使った蛍火は×10であった。
「でも貯めようとしたら×10が限界ですね。抑えてられない。」
「それは少しづつ良くなっていくと思うよ。それよりも使えるようになったことを喜ぶべきだよ。」
そういって若草はキッチンに入っていった。
「少しづつ強くなってる…はず。」
重は思いを胸にダイニングに向かうのだった。今日の晩御飯はカレーだ。
次回更新は11月27日になります。