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草薙と重

「遅いなー。何してるんだろ。」

 草薙が1人で闘技場で待っている。約束の放課後になりすぐにここにきたのだが重と剣は一向に現れない。


(なんなの?。なんでこないのよ。どうせ火祭剣のせいでしょうけど。きたら厳しく怒ってやる。)

 なかなか現れない2人にやきもきする草薙。とそこへ、


「ごめんね。遅くなっちゃった。」

 重が息を切らしながら走ってきた。


「べ、別に大丈夫よ。私も今来たところだし。」

 さっきまでの怒りはどこかへ行き、重を擁護する発言をする草薙。


「それは良かったよ。ごめんね剣が先生に捕まっちゃって。」

 遅刻した理由を重が説明する。


(やっぱり火祭剣のせいだった。彼は重君に迷惑をかけすぎだよ。…ん?。)

「ところでその火祭剣の姿が見えないんだけど。」

 さっきから一向に重の姿しか見えない。草薙とすれば好意を抱いている重だけが眼前にいる状況の方が当然好ましいが今日は剣と戦うためにここにいるのである。


「あはは…。そのことなんだけど…剣が先生に捕まっちゃったって言ったでしょ。それでまだ解放されてないんだよね。だから剣との訓練の中止を伝えに来たんだ。」

 重の口から事の顛末が語られる。


「そうか…。(ほんとになんなの火祭剣。)」

 さらに剣に対する怒りが増幅する草薙。しかしそれは重の言葉で消え去った。


「だからさ良かったら僕と訓練しようよ。僕も草薙さんとやってみたかったんだよ。」

 重からの突然の提案。それは草薙の予期せぬものだった。


「え?。あ…え?。私と?君が?。」

 思考がフリーズする草薙。そこへ、


「いいじゃないか。是非やりたまえ。いやー来た意味がなくなるかと思ったが…これなら十分に来た甲斐があるな。」

 東堂が現れる。


「ま、待って私はまだやるとは…。」

 好意を寄せている人との対戦に思いがけなすぎてついていけていない草薙。


「ほんとに来たんですね。東堂さん。

 風紀委員って暇なんですか?。」

 重が東堂に尋ねる。


「優秀な部下を持つと上司は楽だね。」

 つまり業務を丸投げして来たのである。この光景は創志の時と一緒であった。


「ただ戦うだけじゃつまらないだろう。そうだな…勝った方は負けた方に一つお願いができるというのはどうだろう。」

 東堂が提案する。東堂は朝のやり取りから草薙が重に対してなんらかの好意を抱いていることを見抜いていた。


「え?俺は別にいいですけど…。」

 重が草薙の方を見る。さっきの反応から草薙が乗り気でないような気がしていたのだ。だが


「私はそれで構いません。是非やりましょう。(ひ、一つお願いを聞いてもらえる…!)。」

 東堂の思惑通りやる気全開の草薙。


「それじゃあ2人とも頑張ってね。」

 こうして重対草薙が決定したのだった。

次回更新は11月18日になります。

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