入学式2
「さてここでいいだろ。お前にこの学園の不条理を教えてやる。この学園では強さが全てだとな。」
重達は二年生の男に連れられ学園の中にある闘技場に来ていた。ここでは体におったダメージは魔力の消費に変換される。つまり攻撃を受け過ぎれば魔力切れになって気絶してしまうということである。さらに実際に痛みは伴う。
「そうだな…ハンデをやろう。俺はLevel4まで使える。属性は火だ。系統は…自分で確かめてくれや。」
二年生の男が言う。魔法Level4というのは一般的に魔導師になる基準とされていてこの学園に入学する生徒は大半がこのLevelまでは使える。魔法の属性は基本属性である『火』『水』『土』『風』と変異属性である『雷』『氷』が確認されている。
「おい、重。絶対勝てよ。てかこんなところで負けてたらトップを取るなんて絶対無理だからな。」
剣が重に檄を飛ばす。自分の身がかかっているからである。
「はっ、トップを取るだと。お前らは自分が何を言ってるのかわかっているのか?。この学園の上位は化け物ばかりだ。お前らで到底無理だろうな。L3『豪炎』。」
男が魔法を放つ。男の手から凄まじい炎が出る。LというのはLevelを指しこの場合はLevel3の魔法ということである。
「放出型ですか。あとは武器錬成もできるかだけど…関係ないな。」
重が相手を見ながら言う。魔法の系統には3種類あり、魔法を放つ放出型、武器を造る武器錬成型、自分の体を属性そのものに変える自己変化型の3つである。もっとも多いのが放出型だが武器錬成と併用するものも多い。また、自己変化型はとても少なく希少である。
「今なら許してやらんことも…ないな!。いくぞL4『大豪炎』。」
先ほどよりも大きな炎が重に襲いかかる。
「…L2『火炎』。」
対する重は同属性の魔法で対抗する。しかし使った魔法はL2。これが重が使える最高Levelなのだ。
「バカか。同じ属性でLevelの低い魔法を使うだと?。なんだよL2って。そんなのここでは通用しないぞ。」
男の言葉通り重の魔法が男の魔法に飲み込まれそうになる。その時、
「俺にはLevel2までしか使えない。でも俺にはこれがある。多重魔法発動!。L2『火炎』×100。」
重の魔法が勢いを増し、大豪炎を飲み込む。
「な、なんだよそれ⁉︎俺はそんなの知らない。く、クソ〜……。」
そのまま炎に飲み込まれ男は魔力切れにより気絶する。
「…俺に属性魔法の才能はなかった。だけど俺は俺だけの多重魔法でトップを取る。」
「二年っていってもこんなもんか。」
剣が興味を失ったように言う。
「ってそんなことより大丈夫だった?。」
重が絡まれていた女の子に話しかける。
「は、はい。助けていただいてありがとうございます。二年生に勝つなんて…とてと強いんですね。」
女の子が重に言う。
(ん〜多分だけどさっきの先輩そんなに強くないんだよね。多分落ちこぼれなんじゃないかな?。)
「はは、まぁね。」
女の子の言葉に苦笑いをこぼす重。重の予想通りさっきの男はこの学園では最下層に位置する。それでもLevel4を使えるというのがこの学園のレベルの高さを物語っているが。
「あ、そうだ。名前を言ってなかったね。俺の名前は八神重。そんでこっちの大きいのが火祭剣。同じ一年だし仲良くしようね。」
重が女の子に自己紹介をする。
「わ、私の名前は矢沢澪です。こちらこそお願いします。」
女の子、澪が挨拶を返す。
「…そろそろ行かないと入学式に間に合わないぞ。」
剣が時計を見ながら言う。
「「…………。」」
その一言で3人でダッシュした。気絶した二年生は置き去りにした。
こちらも私が連載している作品です。こちらの作品は1話1分程度で読めるのでトイレの時などに是非。
Dストアストーリー
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ドラックストアの店員たちの日常を書いています。