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剣のテリトリー

突然ですが300話を持ちましてこの作品の連載を終了させていただきます。残り数話ですがよろしくお願い申し上げます。

「…こっちからで手札を切る。『夜炎』双腕。」

 重が夜炎を発動する。空気を焦がす蒼い炎をその腕に纏った重は剣に肉薄する。剣の戦闘スタイルはオールラウンダー。その中でも最も得意とするのは武器を使用した近接。だが敢えて踏み込む。


「…っ、これが夜炎か!。…っち…近すぎる。…これがお前の考えた対策かよ。」

 何度も目にしたことはあるが初めて食らう夜炎。その火力に驚く剣。更にほぼゼロ距離に詰めてきている重に舌打ちを漏らす。重の近接と剣の近接は同じ近接でも距離が違う。自分の体自体を使う重より武器を使う剣の方が僅かに小回りが効かないのだ。言うならば重の近接は極近接。彼だけの距離感での攻勢だった。今剣が持つ武器は双剣。それでも重の体捌きの前に押されている。もし壊刀のような大型の武器を錬成すれば圧倒的に手数が不足して更に懐に入られる。つまり剣は強力な武器錬成を封じられていた。


「俺はこの距離で自分の敗北をベットして戦ってきた。剣!俺はお前の土俵には…上がらない!。」

 振ればお互いの腕が当たる距離。重はその中で体の回転を上手く使い、捌き、掌底を当て、攻撃を反らす。剣も夜炎の威力は知っているので食らうまいと距離を取ろうとするが重がそれを許さない。不規則に発動される遅延魔法が剣の出掛を潰す。そして剣の両腕が上向きに弾かれる時がきた。重の眼前には無防備な胴体。


「…開いたぞ…『火燕』‼︎。」

 その開いた胴体に重の突き蹴りが放たれる。完全に人体の急所の一つである水月を突いたその蹴りを受けて剣は…


「…ふー、…ふー、…気合だ。…ちょっと距離が出来たぞ!。来い『風纏螺旋槍・凪』‼︎。」

 苦悶の表情を浮かべながら耐え切った。当然蹴りの際の炎で腹部は大きく損傷しているがその視線には力か籠もっている。更に蹴りの衝撃で3メートル程距離を取ることが出来た。そこで剣も自身の手札を切る。錬成した螺旋槍はこれまでの物と大きく異なっていた。これまでの物は西洋のランスのような一撃の威力重視のもの。だが今回のものは両刃の薙刀のような槍だった。刃の長さも含めると全長2メートル越えのその槍を剣は頭上で回転させる。


「…っ…」

 重は一度開けられた距離を詰めようとするがある地点で急停止する。その直後目の前の地面に斬撃が走った。


「…よく分かったな。この凪は近中両用の武器だ。お前の前のそのラインからこっちは俺のテリトリーだ。入った者は須く…斬り裂く!。」

 剣はそれだけ言うと…前に出る。当然剣のテリトリー自体も付随して変動する。


「…くっ…L2『火炎』×100!。」

 重は後退しながら魔法を放つ。その数は敢えて制限している。何故なら目的は観察。魔法に対してもテリトリーが有効なのかを知るのが目的だからだ。そして結果は重にとって最悪のものとなる。爆撃はテリトリーを割ることなく剣は無傷だった。


「どうした重!、さっきまでの威勢はどこに行ったんだ!。」


(…だけど分かったこともある。テリトリーは剣を中心に半径2メートル。その外なら剣の攻撃を食らうことは……違う…!。)


「テリトリーの距離を見切ったか?。だけどよ、何安心してんだよ?俺は…オールラウンダーだ。L5『星華火』‼︎。」

 テリトリーの中から剣が魔法を放つ。一瞬気を抜いた重は回避が遅れ防御せざるを得ない状況になってしまう。


「…っ…はっ!剣は…」

 体の前に出した両手で星華火を相殺した重。その結果夜炎は消えてしまっていた。更に剣の姿がない。慌てて探すと視界の端、右側から迫っているのが見える。


(…まだ間に合う…距離は…)

「…え……ぐあっ⁉︎。」

 咄嗟に距離を目視で測る重。その距離はテリトリーよりも離れている。重が迎撃の用意をしている時重の右半身に激痛が走る。重の右腕は無数の斬撃でズタズタになっていた。


「悪いな、重。お前の見切りはミスってる。」


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