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一時の最強

次回更新はお休みします。

次の更新は5月11日になります。

「私は人とは少し変わっている。…あれはいつの頃だったかな。痛みを気持ちが良いと感じ始めたのは。…ふふ、そんな私でもやっていなかった事がある。自分を自分で傷つける事だ。自傷行為に魅力を感じることはなかったんだ。だけど…今日初めて自傷行為をしてしまったよ。君の攻撃を受け切るためにね。」

 晴れやかな表情で言う東堂。その右太腿には風神の鋒が突き刺さっていた。


「…まさか…僕の攻撃を受ける為に…自らダメージを負ったのですか。…そんな馬鹿な行動…普通じゃない。…」

 東堂は自分に小刀を突き刺すことによる痛みで魔力を攻撃前から回復し始めていたのだ。その結果通常なら受け切ることが出来なかったであろう宗谷の攻撃も耐え切れたのである。


「そうさ、普通じゃない。だけどその結果私は新しい階段を登れた。今までなら受けることができなかった攻撃も耐え切れた。その為の自傷行為にすら快感を覚える。君には礼を言わなければならない。これまでは快感を享受出来なかった大技、霧島や貫介の攻撃すら味わえる。…あぁ、楽しみで体が火照る。」

 自身のステップアップを喜ぶ東堂。しかしその内容はかなり残念な内容だった。


「…これが七星に選ばれる者ですか。…ですが余り先の事を考えすぎると…目先の事を仕損じますよ。」

 惚けた表情の東堂に向かって宗谷が駆け出す。先程まで乱れていた呼吸は正常に戻っており宗谷が日々鍛錬を積んでいることがよくわかる。


「…未だかつてないダメージを負った私。そしてそれを糧に製造されたこの魔力。さぁ、新しい私を見るが良い!。」


「…うっ、…なんだ…体が…重い。…何をしたんですか?。」


「…この場所は私の居城となった。君は私から漏れ出す魔力に酔ったんだよ。」


「…⁉︎…魔力酔い、…そんなの子供の時になるぐらいのはず。」


「そうさ、体が大きくなれば自然と治るものだ。だけど今の私は一時的とはいえこの学園で最高の魔力量だ。君は強者と邂逅した時無意識に体を固くするだろ?。それを強制しているだけさ。」


「…こんなもの…僕の鍛錬には…」


「一瞬しか通じない。…だけどそれで十分だ。私のこの状態も長く続ければ自分を滅ぼす。私の元々の魔力のキャパシティは大きくない。だから私は外に魔力を溜めて崩れ落ちる境界を使うわけだしね。……」


「…眠れ、…『絶戒』。」

 東堂がゆっくりと宗谷に近づきその顔に左手を向ける。次の瞬間宗谷は意識を失い崩れる。それを抱きとめる東堂。


「…くはっ…⁉︎…はぁはぁ、…もう抑え切れないか。やれやれ自分の体質とはいえよくもまぁこれだけの魔力に変換出来たもんだ。…空に撃てばいいか。」

 東堂が空に魔力を放出する。身に余る多量の魔力に既に東堂の体も限界に近かったのだ。


「…自然界に元々存在する物に介入するのは多量の魔力を消費する。…だけどあの状態なら…空気の成分濃度すら操れる。この子が風属性使いなら効かなかっただろうけどね。そうだったら…崩れ落ちる境界を使うしかなかった。だけどあの状態で使ったらどうなるかはわからない。貫介相手に試してみよう。」

 宗谷が気絶した理由。空気中の成分濃度を操り宗谷の頭の周辺だけ酸素濃度を下げたのだ。


「…私に新しい世界を見せてくれた君は風紀委員に迎えよう。取り締まりも担当する風紀委員会なら君の対個人の技術は役に立つ。そこでじっくり牙を研ぐといい。」


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