鍛錬、鍛錬
放課後
「ぬぉぉー…。…はぁ出来ない。」
闘技場の中で重を1人特訓をしていた。この前の若草との戦いで見た魔法のコントロール。自分の成長にはあれが不可欠だと考えたからである。
「遅延魔法の使用は激ムズらしいけど魔法のコントロールだけでも少しは習得したい。」
「魔法の射出口を絞るのは難しい。…しかしLevelの低い魔法しか使えない俺はこれで威力の集約をしないと上の人たちには太刀打ちできない。」
前の戦いでLevel4の水獄と水鎖のコンボを若草がLevel3の大豪炎で破った。それはこの技術が魔法のLevelの差を覆すことができることを示している。
「やってるね。どうだい?成果の方は。」
若草がやって来る。
「正直厳しいですね。よく解らなくて。今までは考えたことなかったですからね。」
「今はただ漫然と魔法を外に出しているんだよ。全身から吹き出る魔力によって魔法が構築されてるからね。それを制限する。そうすると魔法は形を失いその力だけが残る。それを自分の意図したところから出すんだ。これはコントロールにも遅延魔法にも通じる技術だよ。」
若草が重に魔法の仕組みについて教える。
「例えば大豪炎は自分の目の前を焼き尽くす魔法というイメージがある。それを崩して使うんだよ。」
「イメージを壊す。…難しいですね。でもさっきより何かわかった気がします。」
「それは何より。そうだ、今日の晩御飯は鍋にするから7時には帰って来てね。」
どうやらそれを伝えるついでに重の特訓を見に来たようである。
「はい、わかりました。」
そう言い早速特訓を再開する重であった。
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「それで?俺に用ってなんなんだよ。」
剣はある男に呼び出されていた。
「若草大樹からの頼みでな。火祭剣お前の先を見せてやる。」
この学園の生徒会長である創志と向き合っていた。
「大樹先輩からの頼み?。俺の先ってどういうことだよ。」
「若草大樹は武器錬成魔法はあまり得意ではないらしくてな俺に一度だけお前の前で魔法を見せるように頼んだのだよ。そういえば真利谷にも頼んでいたぞ、確かもう1人の一年生の相手をな。」
「さて、よく見ていろよ。『常時武装』と言われる俺の魔法を。』
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「あなたが矢沢澪さんね。自己変化型の。」
澪の元には生徒会長副会長である、真利谷がいた。
「え?あ、あなたは真利矢先輩。なんでここに。」
澪が疑問を口にする。今まで話したこともないような人が目の前にいるのである。緊張でうまくしゃべれない。
「あなたのところの若草君に頼まれましてね。自己変化型のことは自己変化型にしか解らない。…あなたLevel5に至ってないのよね。」
自己変化型の最終形態。完全に自分を変化させた状態のことを『〇〇帝』と呼びLevelは5である。
「はい、まだ八割ぐらいです。」
「そう、おそらくなのだけどイメージが足りてないと思うのよ。帝になったイメージが。…今から私が見せます。それを見て学びなさい。チャンスは一度だけですよ。L5『氷帝』。」
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「おぉ!いい出汁が取れたね。」
生徒会の2人をけしかけた若草は重と別れてから鍋の出汁の抽出に余念がなかった。
次回更新は11月9日になります。
よろしくお願いします。




