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重、攻勢

「俺には多重魔法しかなかったから。それを活かすために毎日気絶するまで魔法を使い続けた。その結果俺の魔力タンクは人並み外れた物となった。そこに勝機はある!。L2『火炎』×1000、…『夜炎』‼︎双腕……『仄火』。」

 重が蒼い熱線を若草に放つ。


「…出たね、夜炎。だけど…今の僕なら…弾くぐらいは出来るんだよ。…『天壁』。」

 若草の腕に風と炎が灯る。その両腕を前に突き出すと上昇気流が発生。若草を守る壁となる。天壁に撃ち込まれた仄火は風の勢いに乗って上空へと打ち上げられてしまう。


「正面から受けるのは無理でも角度を変えると案外なんとかなるもんだ。…さぁ、重君。僕に敢えて無策で挑んだんだ。もっと楽しませてくれよ。」


「分かってますよ。…L2『蛍火』×10…『残火』。」

 重は一つ魔法を発動すると一気に若草に迫る。夜炎を纏った両腕、そして火燕状態の足。四肢全てが並々ならぬ攻撃力を秘めている。


「……(ギリギリで躱すことは出来る。…それよりもさっきの魔法は何だ?。…倍率は10、重君の魔法の中ではかなり弱い部類に入る。)…やめだ、後の先を取る戦いは。…こちらから仕掛ける。」

 重の近接を捌くようにいなす若草。重の夜炎は一瞬触れるだけならそこまで影響はない。自身の触れる部分だけ局所的に強化し続ければ捌き続けることが出来る。しかし若草はそれではいけないと攻勢に出る。


「…ぐっ…、…くっ、…このっ…やばっ…」

 攻めていたはずなのにいつの間にか守勢に回らされていた重。若草の強い右腕と速い左腕、重い蹴り技のコンビネーションに翻弄される。そして遂に決定的な隙が生まれる。上に弾かれた左腕、若草の左腕に押さえられた右腕、ガードの為にあげようとした膝もいつの間にか土の鎖で縛られていた。


「…僕の右腕だけが自由だ。分かるかい?致命的ってことだよ。」

 若草の腕に灯る炎が渦を巻く。更に拳は土で覆われ熱されることで硬度を増す。一撃必殺の拳が重の無防備な腹部へと放たれる。


「…人が1番隙が出来るのって…攻めてる時だと思いませんか?。」

 若草の拳が叩き込まれる寸前、重の弾かれていた左腕が爆発音と共に振り下ろされる。上からの不意の衝撃により若草の拳の軌道は下へと逸れる。


「…ここでか⁉︎。無理やり…。…待てよ…この体勢は…」

 空振った若草の視線には手の甲が焼け焦げた重の左手があった。一瞬だけでも纏う夜炎以上の爆発を起こしたのだ。形勢はまたもや逆転する。空振りしたことにより前傾になった若草。当然体の背面が重の視界に晒される。


(…だけど…足は封じている。両手も僕の体の下。ここならガードできる。)

 重の炎が灯る四肢は全て視界に収めている。ならばガードは可能。そう判断した若草は前面に魔力を集中してガードを固める。


「…忘れてますよ!、まだ頭があるでしょ!。L2『火炎』×1000、『炎頭』。」

 重の額に炎が灯る。そしてその額を勢いよく若草の後頭部にぶつけた。


「…ごっ…⁉︎………(視界が…揺れる。…これは…脳震盪か!。まずい…魔力が一気に…)。…っ…」

 重の頭突きよって視界がぶれる若草。体から力が抜けるのを感じる。危機感を覚えた若草は体中に仕込んだ遅延魔法を乱発。その場から離れようとする。


「…逃がしませんよ。霧島さんからは退かない度胸も教わりました。…ここで決めます。L2『火炎』×1000の一点集中…『極理炎』‼︎。これは…大樹さんから教わった魔法です!。」

 若草の体から出る魔法を受けても重は動じない。押さえられていた右腕で逆に若草の左腕を掴み、拘束する。重の左手その人差し指の先に炎が集中する。親善会で李白の無属性すら貫通した魔法。それを若草へと突き刺す。


「…まだだ!…僕はまだ負けてない!。」

 重の極理炎を右腕で掴む若草。揺れる脳でなんとか集中させた魔力で受け止めようとするが極理炎は掌を貫通する。


「…終わりです、大樹さん。勝つのは…俺です!。」

 重が極理炎を解放する。重の全身の炎が消えてその指先へと向かう。そしてその指先を中心に波動が放たれる。重が体に纏っていた無数の魔法。その衝撃が若草に伝わる。そして闘技場は光に包まれた。

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