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思わぬ提案

「おい、八神重はいるか?。」

 剣が若草に敗れた翌日、1年生の教室に霧島が訪れていた。突然の最強の訪問に色めき立つ教室内。


「…まだ来てねぇのか?。…ったく、後は八神だけだからもっと気合を入れろよ。」

 呼びかけに反応がないことを確認した霧島が悪態をつく。剣の戦いを始め、第二希望第二戦は挑戦者の全敗と言う結果に終わっていた。残るは唯一3人が希望した若草と双方の合意により間隔を二週開けていた東堂、宗谷だけだった。東堂は宗谷が時間を希望したのを了承した形である。


「なんか騒がしいな。…どうしたんだよ?。」


「あ、火祭!、それが霧島さんが来てるんだよ。八神を探してるらしい。」

 霧島の登場に取り乱すだけの教室に剣がやってくる。それを発見したクラスメイトが駆け寄り剣に現状を伝える。


「…は?…マジだ。…あー、霧島さん、重は今日から特休ですよ。本当は七星だけらしいっすけど挑戦者にも認められてるんで。」

 クラスメイトの言葉を聞きみんなの視線の先に霧島の存在を確認した剣。クラスメイトに代わり霧島の相手を買って出る。


「…ほぅ、特休か。知ってても使った奴はいなかったそうだが…中々肝が座ってるじゃねぇか。」

 今回に限って七星の特権である授業の出席の自由が挑戦者にも適用される。だがこれまでその制度を利用した者はいない。何故ならその欠席は七星の座を得られなければ普通に欠席したことになるからである。直に成績に関与するのでおいそれと手を出せない。それを利用した重の肝の太さに感心したのである。


「それで重に何の用ですか?。」


「あぁ、少しな。…それで八神重は今どこにいる?。」


「多分いつも俺達が使ってる闘技場にいると思いますけど。」


「そうか、…邪魔したな。」

 剣からそれだけ聞くと霧島はその場を立ち去る。その時丁度教室に入ろうとする澪とすれ違った。その際霧島の顔を見た澪が一瞬体を硬らせる。


「…剣さん、霧島さんがどうしてここに?。」


「なんか重に用があったらしい。多分闘技場だって伝えたら行っちまった。…気になるのか?。」


「その、…霧島さんが笑っていたので。ちょっと怖かったです。」


「笑ってたか。…不気味だな。」


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「やっと見つけたぜ八神重!。…この俺をたらい回しにするとは良い度胸だ。」


「え、霧島さん⁉︎…何の話ですか?。」

 闘技場にて重を見つけた霧島が難癖をつける。そもそも尋ねることなど伝えていないので完全にイチャモンである。


「…まぁそれは許してやる。お前、特休を取ったらしいな。」


「…はい、今の俺じゃあ勝ち目がなさすぎます。大樹さんは想定していたより数段強かった。」


「素直に認めれることは良いことだ。馬鹿はプライドが邪魔してそれすら出来ないからな。」


「そんなお前に朗報だ。俺がお前を強くしてやる。感謝しろよ、俺の1週間をくれてやるんだから。」

 突然の提案。それを聞いた重は戸惑いながら意味を確認する。


「…俺についてくれるってことですか?。霧島さんは大樹さんの側だと思ってたんですけど。」


「あぁ?なんだそれ。そんなものはねぇよ。俺と若草はライバルだ。テメェが強くなれば若草の本気が知れる、…かもしれねぇ。あいつは戦うたびに強くなる。だから俺がお前を強くする。」


「えーと、…それに何の意味が…。俺を強くして、その俺と戦った大樹さんが強くなって…。霧島さんのメリットはなんですか?。」


「そんなもの、その方が楽しいからだろうが。」


「えぇーー、…」


「そもそもお前に拒否権なんてないけどな。さぁ、八神重。俺がお前を一つ上に連れて行ってやる。…死ななきゃだけどな!。」


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