変わらない場所
第二希望第1戦。その結果で全て出た。
『 第二輝 挑戦者 多賀美園 ×
第三輝 挑戦者 若草花凛 ×
第四輝 挑戦者 坂上明徳 ×
第五輝 挑戦者 矢沢澪 ×
第六輝 挑戦者 水野舞美 ×
第七輝 挑戦者 風街吟 ×
今回の決闘での七星の交代は行われない。次戦は1週間後に行うものとする。また本日より七星同士の決闘の希望を受け付ける。希望する者は双方の同意を記した所定の用紙を提出すること。(七星同士の戦いは全生徒に公開されるものとする。) 』
「…やっぱり七星の壁は高いな。この前夢坂が負けたのが予想外だっただけか。」
「そうだね、それに夢坂の相手は元々七星だったらしいし、それ以外は全滅だよね。」
「…なぁ、なんか帰り辛くねーか?。」
実は剣と重は澪と若草の戦いの後寮に戻っていなかった。2人を保健室に連れて行った後は先生に任せてぶらついていたのだ。それは2人が目を覚ました時どうすればいいかわからないからである。全力を出し合った2人。お互いに讃えるべき素晴らしい闘いだったが勝敗は明確に分かれる。それによって雰囲気が悪くなる可能性に耐えられなかったのだ。
「あ、やっぱり?、…うん、今までさ、何回も練習で戦ってきたけどさ、真剣勝負で大樹さんとやりあったことはないから。澪ちゃんと大樹さんが気まずいことになってないと良いけど。」
「だよな、あの2人がぎこちないと飯が不味くなる。」
剣は雰囲気が悪くなるに4割、あとの6割はご飯の心配をしていた。寮のご飯は基本的に澪と若草が担当していたためこの2人が仲違いすると最悪飯がなくなる。それは剣にとって死活問題なのだ。
「「……はぁーーーーー、帰るか。」」
意を決して寮へと歩みを進める2人。2人だって心の中ではわかっている。自分達はそういう学園にいるのだ。競い合い、蹴落とし合う。その先にある国家魔導師を目指す以上これからもそういうことは多々ある。実際来週には剣にもそれが迫っている。乗り越えるしかないのだ。
「「ただいまぁ〜。」」
重と剣は揃って寮へと帰ってくる。
「…うん、そう……だよね。僕も驚いたよ。初めて見る…」
「ふふふっ、私も….近づけ……。真利谷さん………次…」
寮の中からは澪と若草の話し声が聞こえてくる。その声色からして懸念していた事態にはなっていないようである。2人はほっと息を吐き中に入る。
「あぁ、お帰り。2人ともどこへ行ってたんだい?。」
「お帰りなさい。」
「今日の結果を見に行ってたんですよ。2人とも、もう体は大丈夫なんですか?。」
「うん、僕は大丈夫だよ。流石に今日は魔法を使えないけどね。」
「私も大丈夫です。」
「何を話してたんだ?。」
「勿論今日のことさ。澪ちゃんのあの魔法には恐れ入ったからね。血霞だったっけ?、自分の体を変化させることが出来て、かつ血液を利用できるのは多分水の帝と氷の帝ぐらいだと思うよ。良い経験になった。」
「それに見せちゃったからね。」
「あの火拳のことですか?。」
「うん、ビックリさせようと思っていたのに。あの状況では近接しか勝ち目がなかったから使ってしまったよ。」
「相変わらず器用なことをしてたな。右手が火で左手が風、そんで足が土だったか?。」
「重くんの火拳を参考にしてユーロのルーナさんの魔法を元に僕用にアレンジを加えたものなんだ。幸い魔力の集約と集中は僕の得意分野だからね。」
「俺との闘いでも使ってくんのか?。」
「剣くんにかい?、残念だけどそれは言えないなぁ。Level5を使えるようになった君は3人の中で1番マルチレンジの戦いが可能だからね。全力で潰しにいくとしか言えないな。」
「…その言葉で十分だ。俺も楽しみにしてる。」
「…さて、…申し訳ないんだが今日は僕と澪ちゃんがご覧の通り疲労困憊なんだ。2人に晩ご飯をお願いしてもいいかな?。」
「あ、はい。いいですよ。」
「…え!…仕方ねーな。」




