第二回希望 偏り
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次の更新は2月10日になります。
波乱の二戦目を終え残るはあと1人。創士にのみ3人目の希望者がいたからである。そしてその1人は…特に波乱なく創士に敗れた。こうして第一希望の星狩りは六輝の入れ替わりとなった。それを加味して参加者に第二希望のアンケートが為される。1度その身を持って味わった七星の強さ。手応えを得た者、不甲斐なさに震えた者、明暗は分かれたがそれぞれ糧として次に挑む者を選んだ。
『星狩り第二希望アンケート結果
第一輝希望
第二輝希望 2年銀城将 2年多賀美園
第三輝希望 1年若草花凛 2年薪春人
第四輝希望 1年宗谷武命 2年坂上明徳
第五輝希望 1年矢沢澪 1年火祭剣 1年八神重
第六輝希望 1年草薙茜 2年水野舞美
第七輝希望 2年桐崎篝 2年風街吟
*2年降旗防人は本人の申請により辞退。 』
掲示されたアンケート結果。そこにははっきりとした差がついていた。
「…は?…は⁉︎、なんでだよ!なんで誰も俺に挑んでこねーんだ!。若草お前、1人ぐらい俺に寄越せよ!。お前のとこの1年は中々噛みごたえがあるんだ。」
それを見た霧島は荒れた。自分との戦いを希望する者は何度見てもゼロ。隣を歩いていた若草に噛みつく。
「…そう言われても…僕にはどうしようもないかなぁ。」
「…っち、あー、くそっ。…お前だけ楽しみやがって!。…闘気、洩れてんだよ。見てみろよ、あの1年の女子、顔色真っ青にして走って行ったぞ。」
その霧島が若草の顔を見て更に切れる。第五輝希望の欄には全星寮の3人の名前。知らず知らずのうちに若草から闘気が迸る。それを目の当たりにした女子生徒がふらつきながら走り去る。その少女は感じていた、圧倒的な戦力差を。自分がまるで肉食動物の目の前に飛び出した草食動物になった気持ちだった。
「おや、自分でも気付かないうちにそこまで昂っていたか。いけない、いけない。…それにしても…三人共とは、…予想していなかったよ。」
「…はぁ、やる気なくなったわ。…んじゃ日程は決定で。……はぁー、誰か暇な国家魔導師落ちてないかなぁ。」
一気にテンションダウンした霧島はふらふらと立ち去っていく。この後は適当な闘技場で破壊のかぎりを尽くすわけだがそれは今はどうでもいい事である。
「…ふふっ、…さてさて、僕はどんな顔で寮で帰ればいいのかな?。」
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「あ、お帰りなさい大樹さん。」
「うん、ただいま。…あの作戦を練ったのは…剣君でいいのかな?。」
全星寮に帰寮した若草は取り繕う事なく真正面から尋ねる。3人の希望が偶々一致した、なんて事はあり得ない。ならばそれを提案した者がいる。
「…あ、バレました?、そうです、剣ですよ。いつも裏をかかれるからびっくりさせてやるって。…まぁ元々俺はどっちかで大樹さんとやるつもりでしたし、それは剣も澪ちゃんも一緒なんで。」
「…ふふっ、楽しみだよ。あ、そうだ、順番はあの通りで良いのかい?。」
「はい、大丈夫ですよ。」
「…そういえば2人は?。」
「…特訓ですよ、大樹さんを倒す為の。澪ちゃんに頼まれて剣が付き合ってます。あいつテストの度に澪ちゃんに勉強教わってるから頭が上がらないんです。」
「へぇー、澪ちゃんが自分から声をかけてか。気を引き締めないといけないね。そもそも真利谷さんの話ではあと一歩の所まで追い詰めたらしい。自分の後釜は澪ちゃんしかいないと言っていたよ。」
「大絶賛じゃないですか。…いいなぁ。」
「重君も霧島君が噛みごたえがあるって言ってたよ。」
「…俺は骨じゃないんですけど…。」
「…それは…ほら、彼は変わってるから。」
「大樹さんに言われたくないと思いますけど…。」
 




