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縮こまらず立ち向かえ

「俺がこの銃を抜いたら戦いでは無くなってしまうかもしれない。俺とてそれは本意ではないんだよ。分かるか?少しでも戦いを楽しみたいんだ。」

 地面に伏した重に銃口を向けた霧島が言う。傲慢かも知れない。しかしそれが許されるだけの力を霧島は持っている。故に重も悔しさを感じながらも拳を握りしめることしか出来ない。


「…なら!…これでどうですか!。…『夜炎』…この身を焦がす灼熱をこの手に!。」

 重が蒼い炎を発動する。火拳や火剣よりも火炎の熱量を圧縮した蒼き炎。重が国際親善会を戦い抜く為に開発した新しい戦闘スタイルである。その夜炎を発動した重は立ち上がり霧島を睨み付ける。


「…使ったな。その蒼い炎は木暮雅の火帝の炎を真似たものだ。成る程成る程、それなら俺に通用する…かもな。」

 霧島が笑みを深める。そしてその手の銃をしっかりと握り込む。


「『魔弾・炎猛』。」

 霧島の右手の銃から熱線が放たれる。ほぼノーモーションで引き金を引く霧島。それは霧島がこの何でもない動作を幾たびも繰り返してきたことの証明でもある。


「…炎?…俺の…夜炎を甘く見ないでください!。…『火拳』…」

 霧島の弾丸を体から放つ炎で無効化する重。そして腕に炎を集中して霧島に襲いかかる。踏み込む瞬間に足元を爆発させての踏み込むは一足で霧島の懐へ潜り込む。


「…お?…はえーな。…」


「…食らえ。『崩…」


「だけど良いのか?。前を見た方がいい。そこはデッドゾーンだ。」

 霧島の懐に入った重は下から突き上げるように拳を繰り出す。高めた集中で捉えたと確信する重、しかし頭上からの霧島の声。…その声に一瞬動きを止め視界を広げると自分の頭をめがけまさに撃たれんとする銃口があった。霧島の左腕の拳銃が自分に向けられている。


「…嘘だろ。…見えて…」


「…『魔弾・風豪』。」

 銃口から風の弾が飛び出す。ほぼゼロ距離の脅威にされされた重は防御姿勢を取ることも出来ず撃たれる。


「…がっ⁉︎…………っぅぅぅ……くっ…はぁ……夜炎を突き抜けた…。」


「残したか。距離がなかったのが逆に良かったかもな。弾が加速し切る前だったからな。」

 衝撃で吹き飛ばされる重。頭を押さえて立ち上がる。


「…っふ、っふ、……(隙がない。完全に意表を突いたと思ったのに。強い、これが一輝。…そうだ、第一輝なんだ。…何で俺はここまで縮こまっているんだ。…負けて当然。失うものは俺にはない。…攻めろ、攻め続けろ。)…L 1『篝火』×1000。」


「…眩しい。…だがその判断は悪くない。今のままではお前の勝ち目はゼロだ。さぁこの僅かな時間でどう立て直す。」

 重の目眩しに目を細める霧島。身体中の力を抜き重がとる行動に反応できるようにする。


「…L 2『火炎』×1000。…『仄火』‼︎。」

 膨大な数の火炎、そして光の中青い光線が放たれた。夜炎の炎を更に絞って放たれるレーザーのような熱線が地面を焼きつけながら霧島に迫る。


「…いいぞ。そうだお前が相手にしているのは第一輝だ。全てを懸けて攻めるべきなんだ。殺す気で来い。」

 目の前に広がる大量の火炎と足元に迫る濃密な魔力を含んだ火線。そして姿を見せない重。その状況に霧島は満足そうな声をあげる。此方の手の内を伺うような重の戦い方が不満だった。だが今は後の事を考えない攻撃を繰り出してきている。小賢しい小心者には興味ないが無謀なバカは嫌いじゃない。やっと楽しめそうだと霧島は思っていた。


「…さてこの数だ!。…撃ち放題だ!。『魔弾・烈火翁』双龍。」

 仄火を躱し空中を舞う間にも無数の弾丸を霧島は放つ。弾丸一つ一つが渦を巻いた弾丸で火炎と接すると周囲を巻き込む爆発する。着地する頃には辺りの火炎は吹き飛ばされていた。


「…これで全部…っ‼︎。……惜しいな。」


「…『解放』…乱火‼︎。」

 霧島が着地した瞬間、煙の中から火突薙を発動した重が一直線に飛び込んでくる。爆発的且つ直線的に襲いくる重。しかし霧島はギリギリのところで拳銃で受け止める。少しの間均衡する鍔迫り合い。そこで重は火突薙を解放する。赤く発光して蛍火に戻る火突薙。至近距離から霧島に向かう。


「…この距離でか‼︎。…L 4『斬大地』!。」

 今までより余裕のない霧島。斬大地を発動して下からの岩で蛍火をやり過ごし重に距離を取らせようとする。予定通り蛍火は迫り上がる岩に阻まれ霧島に届かない。だがここで霧島の想像を超えることが起きた。


「…うあぁぁ‼︎。…ああぁ‼︎。」

 重は退かず更に踏み込んでいた。自らの魔法で身を焼かれながら霧島の死角に回り込んだ重。その右腕に炎を集中する。


「…お前結構ぶっ飛んでんな。」

 その存在に気付いた霧島はギリギリで自分の全てが間に合わないことを悟る。


『…バキッ‼︎。』

 遂に重の攻撃が霧島に届いた瞬間だった。

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