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二輝と剣

「…どうやら待たせたようだな。遅刻癖があるというお前が感心じゃないか。」


「そりゃ俺も敬意を払いますよ。現段階では俺はまだ何者でもないし、あんたは第二輝だ。」

 闘技場にやってきた創士を剣が出迎える。その事に驚く創士だがそれも仕方のないこと。海での合宿を通して剣の寝坊癖は既に知る事になっているのだから。


「現段階では、か。言うじゃないか。もし俺が負けたらその時点で敬意を払わなくなるのか?。」


「負けるつもりなんてないくせに良く言うぜ。」


「それは当然だろ。戦いに挑むのに負けるつもりの奴なんていないし、いてはいけないだろ。…何故俺が希望者の中でお前を1番に指名したかわかるか?。」

 創士が風街、剣、草薙の中で何故剣を初戦の相手に指名したかわかるかと剣に尋ねる。


「…知らねーよ。わかるわけないだろ。」


「3人の中で唯一俺と闘いになると思ったからだ。はっきり言おう。俺はお前と戦う為にこの星狩りを考案した。俺は…お前との戦いに飢えている!。」

 創士の体から刺すような殺気が放たれる。待望した剣との闘い。それを前に自分を抑え切ることが出来なくなっていた。


「…っ、…やべー、殺気だな。…あんたのとこの会計はダメなのかよ。」


「ん?吟か。…あいつは俺みたいな奴を敬ってくれている良い男だ。しかし敬いが畏怖に変わってしまった。そうなると不思議と人は闘争心を掻き立てることは出来なくなる。」


「…そうかよ。…ならあんたの期待に応えてやるよ。待ちきれないのは…俺も同じだからな!。」

 その言葉と同時に剣の手には大剣が現れる。


「…ほぅ、遅延か。若草大樹から八神重に継承したと思っていたがお前も使えたとはな。だが…見てみろ。先生が待っている。」

 剣の手に現れた大剣を見た創士は笑みを深めるがあることに気付く。先ほどから担当の教師が2人が舞台に上がるのを待っているのである。


「…あ、…っち、やっちまったか。」

 気付いた剣は一瞬気まずそうな顔をして大剣を消す。


「…どうする?なんならその魔法をもう一度仕込む時間くらいなら待ってやるが。」


「…いや、いい。これは俺のポカだからな。」

 そう言い剣は舞台にあがる。その後を創士と追い2人は舞台の上で対面する。


「それではこれより第二輝創士貫介対火祭剣の決闘を開始します。」


「…ふー、…いくぞ。『風纏螺旋槍』‼︎。」

 開始の合図と同時に剣の手には風を纏うランスが出現する。


「…出たな、貫通に特化した大槍。ならば俺は手数でお前を圧倒する。L 4『鋼鉄籠手』L 4『轟の鉄槌』…合成『白刃の鉄拳』。…さぁ、駆けるぞ。」

 創士はその両手に刃のついた籠手を錬成。…一足で剣との間合いを詰める。


「…ぐっ、疾い…だが!今の俺は!…L 5『風神の烈風』。」

 槍の間合いに入られた剣だが魔法を唱えることにより創士の体が一瞬浮き上がる。その隙を逃すことはしない。バックステップを踏みながらランスでの乱撃を加える。


「…そうだ、お前にはそれもあったな。全く嫉妬するぞ。その才能にはな!。」

 剣の乱打を籠手で受け流しながら機会を伺う創士。しかしお互いに接近戦を得意とする者同士、牽制が効きすぎて踏み込み切れない。


「…らちがあかねぇ。…なら…前に出る!。L 4『轟の鉄槌』…振り子を見せてやる。」

 創士を攻めきれないと悟った剣は一歩大きく引き螺旋槍を創士に投げつける。


「…それは受けるわけにはいかんな。…L 4『多重鋼鉄壁』。」

 空気を裂き迫りくる螺旋槍を前に創士は魔法を唱える。地面からせり上がり槍の軌道上に立ち塞がる大壁。しかし螺旋槍はそれを穿ち削りそして貫通する。


「…わかっていたさ。欲しかったのは時間だ。…L 6『神真の天凱』…守らずの型。『是刀』。」

 壁を突き破った大槍を待ち受けていたのは上段に白い刀を構える創士だった。そして振り下ろされる是刀。大槍は両断される。その時地面に影が現れる。


「…おぉりゃゃぁぁ‼︎。食いやがれ!『振り子乱火』‼︎。」


『キンッ…キキキキキキキキキンッ…キキキキキキキキキンッ‼︎。』

 飛び込んで来た剣の手にある大槌は創士に触れる面が爆発しその勢いで反転、一周し又襲い掛かる。剣の体を駒の軸のようにしたその連撃は一撃の重さと爆発の衝撃、熱風、をもって創士に襲い掛かる。


「…はぁ、はぁ…どうだ。」

 仕込んだ爆発が切れた剣は最後の一撃と同時に大きく飛び距離をとる。そして土埃の中の創士を見つめる。倒したとは思わない。それでもこれだけの重爆撃ならば手傷は負わせただろうと思っていた。


「…重い攻撃だった。しかし残念だが…俺のL 6は2通りあるんだ。L 6『神真の天凱』堅守の型。」

 一枚の大盾と五枚の浮遊する盾。その身を六枚の盾で固めた創士は一連の攻撃を全て防ぎきっていた。


「…ったく疲れる先輩だぜ。」

 額に汗を流しながら剣が呟いた。

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